日本オラクル社長の遠藤隆雄氏は1月21日、同社の2013年の事業方針を発表した。
冒頭、遠藤氏は2013年度上半期(2012年6~11月)の日本オラクルの業績に言及。「好調な業績で推移しており、利益で前年同期比12%増の成長となっている。新規ライセンスが24%増となっており、中でもデータベース&ミドルウェア製品が前年同期比20%増となった。成長に対する弾みがついたと考えており、2013年度下期、2014年度もこの成長を持続させたい。高い成長を続けることが、日本オラクルに対する期待に応えることになる」と語った。
遠藤隆雄氏
一方、遠藤氏は「2013年は、日本オラクルのブランドバリューを高めるための発信を強めていく」とし、「これまでのプロセス・イノベーターというコアは変えずに、ビジネスモデル・イノベーターとしてのイメージを加えていく。これは顧客のイノベーションを支援し、実現できる会社であるということ。そこに日本オラクルの挑戦がある」と説明する。
さらに遠藤氏は「かつての日本オラクルはテクノロジベンダーとされていた」と語りながら、「ベンダーではなく、パートナーとして認知されることが必要である。テクノロジパートナーとして、またはビジネスパートナーとしてさまざまな相談をしてもらい、提案活動ができるような信頼関係を築きたい。アプローチの対象も、情報システム部門に加えて、事業部門が対象になる。そうしたところにアプローチできる体力を備えたい」と意欲を語っている
具体的な注力分野として遠藤氏は「Engineered Systems」「Oracle is Cloud」「Customer Experience」の3点を挙げる。Engineered Systemsでは「Oracle Exadata」を中心にした提案を加速する姿勢を示したほか、Oracle is Cloudでは「オンプレミスとの連携を含めて、オラクルにしかできない提案をしていく」と説明している。
Customer Experience(CX)では、顧客ニーズをリサーチし、購入に至るまでの購買プロセスを示したセールスオートメーション、これらから得た情報や知見をベースにほかの顧客に提案するというライフサイクルの中で企業価値を高めるサービスオートメーションの仕組みを説明しながら「顧客企業の売り上げ増加、競争力強化、好感度向上といった成果によりビジネスの成長につなげていくのが、オラクルが提案するCXになる」とした。
遠藤氏は「日本の企業には企業は人なりという言葉があるが、人材育成やタレントマネジメントにはあまり注力していなかった企業もある。ビジネスの成長には、タレントマネジメントが不可欠である」と前置きし、「これまでのOracle FusionシリーズのHuman Capital Managementに加え、(買収した)Taleoのタレントマネジメントシステムを近々発表する予定である。これにより、日本オラクルは、人事管理からタレントマネジメントまで一気通貫で提供することができる。グローバルのトップ企業が導入しているソリューションであり、日本においても楽しみな製品になる。人材育成に注力できなかった企業や、グローバル展開したい企業に効果が期待できる」とした。
2013年のキーワードを「飛躍」とし、同時に、これまで同社が掲げてきた「SIMPLIFY IT」「POWER EXTREME INNOVATION」の2つの言葉も継続的に使用していく考えを示した。遠藤氏は「飛躍というと干支である蛇は飛ばずに、脱皮ではないかと言われるが(笑)、干支とは関係なく、日本オラクルは高い成長を目指している。日本オラクルが持っている力をフルに活用すれば、もっと成長ができると考えている。飛躍の年にしたい」と意気込みを語っている。