「経営トップが求めるのは複雑なITではない。柔軟性が高く、低コストで導入、運用できるITを求めており、その上で成果を出していくことが重要である。日本オラクルは、Engineered Systemsによるシンプルなシステムを提供し、その上で動作する差別化できるアプリケーションを垂直統合の中で提案していくことができる。垂直統合のすべてのレイヤでベストな製品を提供していくことにもこだわり、クラウドについては、パブリック、プライベート、ハイブリッド、さらにはオンプレミスとの連動というようにコンプリートによるチョイスを実現できる」(遠藤氏)
同社の副社長執行役員でソフトウェアライセンス事業を担当する大塚俊彦氏は「2013年は、インダストリービジネスへの取り組みを一層強化する1年になる」として、日本オラクルが取り組むインダストリー戦略を説明した。
米Oracleが2011年6月から現在までの18カ月の間に18社を買収していることを示しながら大塚氏は「クラウド、CX、HCM(HRM)、ソーシャルといった分野からポートフォリオの拡充を図っている。だが、18社のうち14社がアプリケーション領域やビジネス領域の買収である。現在オラクルはグローバルに22のインダストリーを定義し、そこにおいて顧客のイノベーションを支援している。オラクルが持つインダストリーアプリケーションは他社との大きな差別化になるものである」と説明している。

大塚俊彦氏
日本オラクルでは、通信、製造、金融、流通・サービス、公共という5つの産業別営業統括本部体制を敷いており、「インダストリーに精通した人物により、顧客の将来のアーキテクチャに対してどんな提言ができるかが重要である。また、顧客に深く入り込み、ビジネスの課題解決に取り組んでいくことができる体制が必要だ」とその意義を語る。特に今年のインダストリー事業の取り組みの中で生かしたいと考えているのが、グローバルリソース&アセットの活用だという。
これは、オラクルがグローバル共通で提案できるインダストリー向けアセットであり、インダストリーの専門家など約400人で得られた知見を欧米とアジアに展開していくという。「グローバルチームとの連携により、オラクルならではのインダストリー向け提案を加速していきたい」と意欲をみせている。