富士通、「高齢者ケアクラウド」提供--医療と介護から健康と生活をサポート

大河原克行 2013年01月23日 15時59分

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 富士通は1月23日、高齢者を包括的に支える新たなクラウドサービスとして「高齢者ケアクラウド」を開始すると発表した。

 65歳以上の人口が24%を占め、高齢化社会が進展するなか、高齢者の医療と介護の質的向上が注目されている。

武藤真祐氏
武藤真祐氏

 富士通では、過去2年間にわたる在宅医療現場での経験、東日本大震災の被災地における高齢者ケアの経験を踏まえ、さらに医療法人社団 鉄祐会 祐ホームクリニックの武藤真祐理事長の協力を得て、高齢者ケアクラウドを開発した。

 「高齢者を皆で支え合う社会へICTで貢献」をコンセプトに、同サービスを通じて高齢者が住み慣れた場所で安心して暮らせるように、在宅医療・介護の面から健康と生活をトータルにサポートできるものになると位置づけている。

阪井洋之氏
阪井洋之氏

 富士通 ソーシャルクラウド事業開発室 室長の阪井洋之氏は、「富士通の在宅医療での実証を通じて、高齢者が社会から孤立せずに過ごすには、在宅医療の提供体制整備が急務であること、チームで高齢者をケアするネットワークが必要であること、健康面に加えて、住まい、金融、法律、食、移動などといった生活全体を包括的に支える社会づくりが必要であり、在宅医療・介護を起点として高齢者の健康と生活を包括的に支える社会プラットフォームづくりを目指す必要がある」と、同サービスの開発の狙いを語った。

  • 高齢者ケアクラウドのコンセプト

  • 高齢者ケアクラウドのサービス体系

 第1弾として、在宅医療・介護に特化した「Fujitsu Intelligent Society Sollution 往診先生」を1月23日から提供する。

 往診先生は、在宅医療の質を高めながら従事者の負担を軽減する「在宅医療支援SaaS」、在宅医療・介護事業者の情報連携により多職種協働を可能にし、関係者がひとつのチームとして高齢者を支援する「在宅チームケアSaaS」、患者や家族からの連絡や問い合わせに24時間365日対応する「在宅医支援コンタクトセンターサービス」の3つのサービスで構成される。

 「在宅医療支援SaaS」では、患者宅周辺の駐車場から玄関の位置までを案内する「Dr.ナビゲーション機能」や、他の患者との位置関係から最も効率的な往診予定を設定できる「スケジュール名人機能」などを提供。初期費用30万円、月額7万円から(5IDで7万円)。

 「在宅チームケアSaaS」では、多職種間でケアに必要となるバイタル情報などの共通指標、スケジュール、メッセージなどをクラウドで共有できるという。初期費用30万円、月額7万円(10テナントまで7万円)。2013年5月から提供を開始する。

 また、「在宅医支援コンタクトセンターサービス」では、専門のトレーニングを受けた看護師を常駐させる専用のコンタクトセンターを設置。家族の不安や多忙な医師およびスタッフの負担を軽減することを目指すという。初期費用10万円、月額10万円(患者数50人まで10万円)から提供する。

 また、往診先生は2013年度中に介護システムと訪問看護システムを提供する予定だという。

 「往診時間以外の業務を効率化することで患者と向き合う時間を最大化し、1人の医師が担当する患者数を増加させることができるほか、間違いのない診察、確実な在宅医療を実現し、患者と強い信頼関係を生むことにもつながる」(阪井氏)とした。

 在宅医療に力を入れようとしている医療団体や企業系介護事業者、調剤薬局チェーン、既存診療所、新規に在宅医療分野に参入する企業を対象に導入を図る計画だ。

  • 在宅医療支援SaaS

  • 在宅チームケアSaaS

  • 在宅医支援コンタクトセンターサービス

 一方、同社では高齢者ケアクラウドを「在宅医療・介護」「地域・NPO」「生活産業」といった領域を包括的に支援するクラウドサービスと位置づけ、今後、高齢者ケアに従事する医療、介護、地域関係者を支援するクラウドサービスを体系化し、順次提供していくという。

 地域・NPOの領域では、健康・生活アセスメントクラウドを提供。生活産業の領域では、高齢者生活支援プラットフォームを2014年度に提供する予定だという。

 富士通では、高齢者ケアクラウドの2015年度までの累計売上高で60億円、在宅医療で1000事業者での導入を目指すという。

  • 販売価格と提供開始時期

  • 他の患者との位置関係から最も効率的な往診予定を設定できる「スケジュール名人機能」

川妻庸男氏
川妻庸男氏

 富士通 執行役員常務の川妻庸男氏は、「電子カルテが進歩しても病気が減るわけではない。富士通は、もっと人間寄りのシステムを提供したいと考えている。いままでは企業の情報システムを中心に提案してきたが、それ以外の分野に踏み出していく必要がある。今回のサービスは、健康・医療分野の現場で利用できるシステムとして提案していくものであり、その点では、富士通らしくないものだといえるかもしれない」などとした。

 医療法人社団 鉄祐会 祐ホームクリニック理事長の武藤真祐氏は、「在宅医療では、提供する医師と看護師が24時間体制を構築するのが難しいという課題があること、医療と介護の連携ができていないといった課題がある。在宅医療の実現には、量と質を整えていくことが必要であり、労働集約型の体制から脱却する必要性もある。往診先生では、2年間に渡って現場が使いやすいシステムはなにかということを富士通とともに研究し、開発したものである。医療システムに変更を加えたものではない。すでに活用しているが、ミスがなく医療と介護の連携ができ、患者と向き合う時間が増え、システマチックに質の高い在宅医療を提供できる。動き回っているという点が病院システムとは異なり、その点でクラウドの活用は適している」などとした。

  • (左から)川妻庸男氏、武藤真祐氏、阪井洋之氏

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