#4:市場がフラットになる
IoTの利用によってもたらされるものとして、いわゆるテレマティクスデータ(デバイスの位置や状態に関する情報)がよく語られている。これは目新しい話ではないものの、最新技術を搭載したテレマティクスデバイス(今ではスマートフォンに形を変え、ほとんどの人々のポケットに入っている)というものを考えると、いくつかのビジネスモデルはずっと小規模な組織で実現できるようになったと言える。最近も、モバイル機器を利用したアドホックで免許不要の「タクシー」ネットワークを構築した中小企業が大手のタクシー会社を脅かすといったことが起こっている。インターネットに接続できる安価なハードウェアの登場によって、昔であれば、高価なカスタムハードウェアが必要であったがゆえに一部の企業でしか実現できなかった業務アプリすらも構築できるようになったわけである。
#5:マーケティングを超えた効果
マーケティングの専門家は、モノのインターネットによって収集が見込める詳細な統計データや位置データに大きな期待を寄せているものの、筆者はより多くの広告(特にユーザーがどのように製品を使用しているのかや、地球上のどの場所にいるのかといった情報に基づいた広告)を受け取りたいと心から願っているコンシューマーにはまだ出会ったことがない。IoTを用いて会社を飛躍させたいと考えているのであれば、監視されているような気がするだけの広告体験を超えるものを提供しなければならない。これには、朝のフィットネスエクササイズをサボった時に近所のサラダバーを紹介してくれるフィットネス腕時計や、現在地とあなたのドライビングの傾向に基づいて次の給油スケジュールを提示してくれる自動車といったものが考えられる。こういったものによって単に広告を配信するのではなく、真の価値が付加されたサービスを実現できるはずだ。
#6:自己修復型デバイス
デバイスの複雑化に伴い、積極的に診断や修復をしたり、製造元に対して使用状況をフィードバックしたりする機能は競争力という点で重要な差別化要因となる。携帯電話からテレビに至るまであらゆるものがネットワークに接続され、定期的にソフトウェアがアップデートされている点を見ても、われわれは既にこういったイノベーションの初期段階に差し掛かっていると言えるだろう。このような状況が起こるとともに、テクノロジのコストが劇的に低下したことで、既存製品さえもがネットワークに接続され、診断データを送信できるようになっている。