マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOが持つのは、昨秋発表したタブレット「Surface」
またしても米多国籍企業の「海外滞留金」
今回の話でとくに目を惹いたのが、例の「海外滞留金がどう影響するか」という点だ。
米国のIT系大手企業などが「ハイパー節税策」に邁進した結果、米国内に持ち込もうとすると多額の税金を取られかねない資金が国外に大量に積み上がってしまった。こうした「税金を払わないIT企業」の話は折に触れて取り上げてきたので、そちらの記事も参照してほしい。
デルのLBOでも海外滞留金の扱いが問題になりそうと指摘したのは、Bloombergだ。
Bloombergによると、デルの現金・短期証券は2012年9月末時点であわせて142億ドルほど。そのほとんどが米国外にあり、内訳については短期流動性資金が110億ドル、債権等に形を変えているものが32億ドルだったという。同時に、長期・短期の負債があわせて約90億ドルという説明もある。
デルの最近の時価総額は220億ドル前後だから、それと比べてると、国外にある資金の占める割合の大きさが察せられよう。ただし、そのこと以上に気になったのは、「海外法人(子会社)名義で保有する資産を担保にして買収資金を借り入れると、資金を米国内に持ち込んだものとみなされ、課税されることもありえる」という専門家の見解のほうだ。
「すでにいろんな手(節税策)を編み出してきた連中だから、これからも知恵をつかって新たな方法を考え出し、国外で塩漬け状態の資金をいちばん税負担の少ないやり方で持ち込もうとするだろう」という見方、さらに「海外法人のもつ資金を担保に借り入れるとアウトだ(課税対象になる)が、そうした資金を保有する海外法人の株式なら担保にしてもセーフ」といった解説もあり、実際に投資先株式の3分の2までなら担保につかっても税金はかからないというテクニカルなティップスまで書かれていたりもする。
ただし、やり方をしくじると国外に溜め込んだ多額の資金がアダとなり、そのせいで身動きを取りづらくなる、場合によってはそのせいで課税というペナルティを科されることにもなりかねない——そんなニュアンスも伝わってくる記事だ。