業務アプリケーションでSaaSの利用比率は現在17%だが、将来の意向では42.5%――。矢野経済研究所が1月29日に発表した調査で明らかになっている。
今回の調査は、財務・会計、人事・給与、販売管理、顧客情報管理システム(CRM)・営業支援(SFA)ツールの各業務アプリケーションについて、現在導入しているシステムでSaaSを利用しているかを聞いている。
分野別に見ると、財務・会計が2.9%、人事・給与で3.0%、販売管理で2.1%、CRM/SFAで9.0%となっている。合計で17%がSaaSを利用している。CRM/SFAは、現在のSaaS利用率が9.0%とほかの分野を上回ったが、ほかはいずれも低い水準となっている。
次回システムを更新、導入する際にSaaSを利用する意向をみると、財務・会計で6.6%、人事・給与で6.4%、販売管理で7.0%、CRM/SFAで22.5%となっている。合計で、42.5%がSaaSを利用したいという結果だ。
いずれの分野でも、現在のSaaS利用率を上回っており、今後SaaSの利用企業は増加すると見込まれている。SaaSで利用できる業務アプリケーションや統合基幹業務システム(ERP)パッケージの種類も増えていることも、SaaSの利用率向上につながると説明している。
財務・会計と人事・給与の利用意向は6%台とまだ低いレベルであり、短期間で大幅に拡大するとは考えられないと説明。同分野でのSaaS利用率は緩やかに進み、当面は従来のオンプレミスなどが主流になる見通しとしている。
CRM/SFAは、次回SaaSを利用したいという回答が22.5%に達しており、業務アプリケーションの各分野の中でSaaS利用意向が最も高い。これはSalesforce.comが日本市場で成功を収め、それに続くほかのベンダーもこぞってSaaSを提供していることから、システム導入時にSaaSを選択することが一般的になっており、いち早くSaaSの利用が定着している結果と説明している。
CRM/SFAは、特定部門での少人数の利用や試験導入など、スモールスタートでの導入を希望する企業が多く、初期コストをかけずに手軽に利用できるSaaSが、そのニーズにマッチしていることも導入の後押しとなっていると分析している。
調査は2012年7~10月に実施。民間企業や団体、公的機関などの法人が対象。電話でのアンケート調査にファクスと郵送アンケートで実施している。

SaaS利用率と今後の利用意向(出典:矢野経済研究所)