3Dプリント技術とおなじ変化が教育の世界でも生じるのだろうか
その変化とは、今後オンラインの講座を提供する大学が増えていくなかで、昔からある「学位」(degree)と併存するような形で、オンライン講座の「修了証明書」(credential)のもつ価値が高まり、それが仕事に就く機会の獲得にも役立つようになる。また、世界各地の大学が提供するさまざまなオンライン講座のなかから、その分野でもっとも優れていると思われるものをアラカルト式で選択・受講して必要な単位を揃えるといった、学生が自分なりにカスタマイズした学位を持てるようになることもいずれは可能になる、といったことである。
3Dプリント技術がある程度発達した最近では、ユーザーが実体のあるモノを比較的容易に設計・製造できるという話もそれほどめずらしくなくなった感がある。MOOCがうまく発展・定着していけば、それと同じような変化が教育の世界でも生じる、ということになろうか。
後書き:「ガラケーのような私」について
冒頭、「グローバルな労働力市場で、自分という労働力(商品)がほぼ完全にガラケー化している」と書いたが、これは専ら日本語の文筆を生業とする自らの「商圏の狭さ」に改めて気付いてのこと。
プロスポーツや芸能の世界ではすでにみられることだが、MOOCのような形で受けられる世界一流の授業も、そのほとんどが英語——もしくは英語と比肩するようなスケール感をもつ中国語、スペイン語、アラビア語(イスラム圏の言語)といった大規模なプラットフォーム上で提供されることになるのだろう。
限られた商圏にどうやって才能を惹きつけ、優れた商品を生み出していけるようにするのか——簡単には手がかりも浮かんでこない難題だ。
(文中敬称略、トップ画像は「Classroom chairs 2 image by Eric James Sarmiento, CC2.0)
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