日本マイクロソフトは、2012年9月に発売したサーバ向けOS「Windows 2012 Server」を「クラウドOS」として位置づける。関連してモバイルデバイスの管理において、オンプレミス環境向けには「System Center 2012」、一方クラウド上で管理するためのサービスとして「Windows Intune」を提供している。スマートフォンやタブレット端末が今後増え続けると予想される中、紛失や情報漏えい防止などセキュリティの観点からこうした端末の適切な管理は企業にとって必須事項になってくる。
2013年1月に新版がリリースされたWindows Intuneに焦点を当て、企業のモバイルデバイス管理の方法について考えてみる。
日本マイクロソフトWindows本部シニアプロダクトマネージャーの小黒信介氏
最初に、Windows Intuneの基本的な機能を振り返ると、更新プログラム管理、マルウェア対策、ソフトウェア配布、モバイルデバイス管理、資産管理、リモートアシスタンス、ポリシーでの運用自動化、アラート管理などが挙げられる。
「数年前に比べてPCなどの端末を会社外に持ち出すことへの拒否反応が少し落ち着いてきているように感じる」と日本マイクロソフトWindows本部シニアプロダクトマネージャーの小黒信介氏は話す。スマートフォンやタブレット端末の急速な普及により、特に営業の現場でそうした端末を使って顧客に資料を見てもらうようなケースが増えており、拒否を続けるわけにもいかなくなっているのではないかとの指摘がある。
一方で、モバイルデバイスを持ち歩くことで紛失や盗難などのリスクは当然ついて回るため、企業にとってはコンプライアンスリスクと常に隣り合わせだ。紛失・盗難時に遠隔操作で端末のデータを消去するリモートワイプの機能をはじめ、端末ごとに管理する必要が出てくる。このニーズを、サーバマシンや専任管理者が不要になるなどの低コスト性や導入のしやすさといったクラウドの特徴を付加することで受け止めるのが、Windows Intuneの導入メリットといえる。
またウイルスソフトやパッチの適用体制が不十分なケースやBYODを取り入れたい企業にとっても有用という。
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Windows Intuneの新版は、機能面ではWindows 8対応、以前はExchange Server 2010と連携して管理していたWindows RTおよびWindows Phone 8、iOSなどの端末をWindows Intuneのみで管理できるようにしたこと、オンプレミス環境での端末管理をするためのSystem Center Configuration Manager 2012 SP1との連携といった特徴がある。
また、ライセンス面では、従来のデバイスごとのライセンス体系を改め、ユーザーライセンスを採用。1ライセンスで5台までの端末を管理できるようなった。1人で多数の端末を抱えるような組織なら、運用コストを低減できる。
価格体系も変更した。従来の「Windows Intune with Windows SA」はデバイスごとに月額1230円だったが、新版からは3つの料金体系から選択できるようになった。Windows Intuneのみの利用がユーザーごとに月額490円、これにWindows SAを付加すると同900円、また、既にSystem Center 2012 Endpoint Protectionなどを導入済みのユーザーは、同319円で新版を利用できる。
クラウド環境の普及とモバイルデバイスの増加により、一昔前とは企業の情報システムの形式そのものが変わってきており、Windows Intuneをはじめとしたデバイス管理ソフトウェアの導入と適切な運用は、企業のビジネスを支える基礎として重要になってくる。