ストラトスフィア、ネットワーク仮想化基盤ソフト新版--VXLANを拡張

田中好伸 (編集部)

2013-02-07 16:53

 ストラトスフィアは2月7日、ネットワーク仮想化基盤ソフトウェアの新版「Stratosphere SDN Platform 1.1」を発表、販売を開始した。2月28日から提供する。

 同社はインターネットイニシアティブ(IIJ)とACCESSの合弁会社。Stratosphere SDN Platform(SSP)は、広域に分散した仮想マシン群を接続するネットワークを仮想的に構築、制御するソフトウェア。従来から利用されているネットワーク技術と新しい技術を融合させる技術モデル「Software Defined Networking(SDN)」を実現できるという。

 SSPは、主要機能をモジュール化し、ユーザー企業のニーズにあわせて柔軟にシステム構成を変えられ、既存のネットワーク環境からシームレスに移行できるという。前版のSSP 1.0は2012年10月末から提供している。

 新版のSSP 1.1は、IPパケットに固定長で単純なラベルをつけて転送するパケット転送技術「MPLS(Multi-Protocol Label Switching)」に対応している。データセンター間で仮想ネットワークを接続する際に、MPLS網を利用できる。MPLSのネットワーク機能をSDNでも利用でき、より広域にネットワーク全体を仮想化できるという。企業内のLAN環境からSSPが管理するクラウド上の仮想ネットワークにIPSecトンネルを活用して安全に接続できるようにもなっている。

 新版では、エンドユーザーとサービスプロバイダー向けに、それぞれのニーズにあったAPIも提供する。このAPIを活用して、サービスプロバイダーが独自サービスを構築できる。次版では、インフラ事業者向けのAPIを追加して、3階層のAPIになる予定としている。

 クラウド管理ソフトウェア「Apache CloudStack」との連携でSSPは、これまで米Niciraのプラグインを利用していた。新版では、独自のプラグインを提供し、今後もストラトスフィア独自の機能を順次拡張していく予定としている。

 SSP 1.1では、現在標準化か進みつつあるネットワーク規格「Virtual eXtensible VLAN(VXLAN)」での機能を拡張させている。オーバーレイプロトコルであるVXLANは、仮想マシンやアプリケーションに、物理ネットワークとは別に、ネットワークIDを付与することができるものであり、仮想化されたマシンがプライベートクラウドとパブリッククラウドを自由に行き来できると期待されており、従来よりも柔軟なネットワークを構成できると注目を集めている。

 SSP 1.1は、VXLAN上のブロードキャストトラフィックでの通信負荷を低減するために、IPマルチキャスト方式とブロードキャストエンジンでトラフィック処理を最適化する。IPマルチキャスト方式は、1つのデータを複数のノードに効率よく送信できるIPマルチキャスト技術を活用して最適化する方式であり、ブロードキャストエンジンは、ブロードキャストパケットの配信専用サーバ。今回のトラフィック処理の最適化で、エッジオーバーレイ型のSDNで課題とされる性能劣化を防げるとメリットを強調している。

 SSPでは、パケットを変換する仮想スイッチの処理を、物理サーバ上で動作させる構成(ビルトイン型)、サーバとは別の専用機器上で動作させる構成(セパレート型)の2つが可能だ。従来は、ビルトイン型とセパレート型のどちらかを選ぶ仕組みとなっていた。SSP 1.1ではビルトイン型とセパレート型を混在させてシステムを構成できるようになっている。

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