トップインタビュー

日本の中小企業6000社にUTMを販売する韓国セキュリティベンダーSECUIの実力

田中好伸 (編集部) 吉澤亨史

2013-02-14 09:00

 韓国のSECUI.COMは、統合脅威管理(UTM)アプライアンスを中心に展開するセキュリティベンダー。日本では2010年から中小規模企業(SMB)向けのUTMを販売しており、すでに6000社の導入実績があるという。

 各界のエグゼクティブに価値創造のヒントを聞く連載「ZDNet Japan トップインタビュー」。今回は、同社の代表取締役社長であり、最高経営責任者(CEO)である裵昊敬(Bae Ho Kyung)氏、日本版の開発やサポートを展開するトライポッドワークス代表取締役社長の佐々木賢一氏にSECUIの強みや今後の展開についてうかがった。

日本向けに簡素化

――SECUIについて教えてください。

 私はもともとサムスンに30年ほど勤務し、2010年にはエスワンという会社のセキュリティソリューション本部長を務めました。そして2012年1月にSECUIの社長に就任しました。


裵昊敬氏

 SECUIは2000年3月にサムスングループの情報セキュリティ専門会社として設立され、UTMを中心にファイアウォール、VPN(仮想私設網)、IPS(不正侵入防御システム)の設計や製造、販売、さらにセキュリティコンサルティング、セキュリティ監視サービス、認証サービスも提供しています。

 2010年から日本でも販売を開始し、大きく成長しました。Gartnerの2011年のUTM売上ランキングにアジアで唯一となる8位にランクされ、2010年から2011年の成長率は58.5%を記録しました。

 2010年は韓国政府が定める「貿易の日」において「100万ドル輸出の塔」受賞、その後300万ドル、500万ドルと3年連続で受賞しています。2012年の売り上げは80億円、営業利益16億円であり、そのうち12%が海外での売り上げ、その6%を日本が占めています。残りの6%は、サムスングループ経由での輸出です。

――トライポッドワークスの位置付けについて教えてください

佐々木 SECUIとは2007年からのお付き合いで、UTMを中心にアライアンスを組んでいます。UTMでは、日本向けの開発とビジネス開発を担当しています。日本ではまだまだ名前が知られていませんが、それは意図的にPRしていなかったためです。

 というのも、UTM市場はFortinetなど数社が一定のシェアを分け合っている状況です。そこに入っていくにはブランド力が足りなかったので、SMBをターゲットに展開しました。

 SMB向けの製品では、ベースとなるUTMテクノロジはそのまま使っていますが、日本特有の要件としてローエンドモデルのカスタマイズと日本語化をしています。SECUIのUTM製品は、韓国では政府、金融、通信系データセンター、グローバルに展開する製造業などハイエンドで使われています。そのため管理運用の機能や画面が複雑でした。そこをローエンド向けに単純化するとともに、1年半をかけて日本語化を行いました。

 また、海外製品において製品サポートはユーザーが不満を感じる部分でもあります。そこでトライポッドワークスがメーカーのようにワンストップで製品、サポートを提供しています。SECUIの日本法人としての役割を果たしているわけです。

 商流については、フォーバルと組ませていただいています。日本のSMBに特化したUTM製品と、SMBに強いフォーバルと組むことで、先月末まで6000社を達成しました。現時点では、SMB向けのUTM「NXG 150」と「SWIFTBOX」を販売しています。

機能融合製品へのニーズ高まる

――SWIFTBOXについて教えてください

佐々木 フォーバルはもともとSMB向けのビジネスフォンを長年扱っています。それで電話と組み合わせた商品の開発依頼を受けました。そこで、IP電話システム(IP-PBX)とUTMを組み合わせたIP統合ソリューションとしてSWIFTBOXをSECUIと開発しました。これは今までにない商品だと思います。

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