富士通「SPARC M10」は「どんと来い!マシン」(前編) - (page 2)

三浦優子

2013-02-14 17:59

SPARC64とSolarisの組み合わせが「最高の効果をあげる」

 潤沢にあるハードウェア資源を活用する技術において、やはりOracle Solarisを超えられるOSは現状で考えにくいだろう。最大1024コア2048スレッド、32TBと言う超巨大なシステムすら、1つのOSとして管理が可能だ。

 こうした規模の面だけでなく、信頼性でも着目すべき機能が多い。メモリが異常になっても、SPARC M10のハードウェア監視機能と連携し、異常個所のデータを別の領域に自動で退避してOSから切り離すため、業務システムの性能に影響を与えない仕組みだ。他にもCPUコアの自動縮退と代替コアへの切り替え機能、キャッシュ縮退といった多くのコンポーネントが、OSまたはハードウェアで保護される。こうして万一の故障に対しても、業務システムへの影響を最低限にするわけだ。ハードウェアとOSを一体で開発するUNIXサーバならではの、完成度の高い信頼性の仕組みといえるだろう。

 さらに、この規模のサーバでは、サーバリソースを分割して使う事も多いと想定されるが、その配慮もなされる。標準で、信頼性重視のVMソフト「Oracle VM for SPARC」がバンドルされ、OS自体にもう1階層の仮想化機能「Solaris Zones」もついてくる。これら仮想化機能もサーバハードウェアと一体で開発されており、追加費用を考慮せず、仮想OSをいくつでも構築できる。

 「PCが安いと思うのは間違っています。多くのサーバが仮想化する時代には、仮想化ソフトが標準で付いているSPARC Solarisサーバの方が、価格もPCより安く、サポートもサーバと一体で安心です」(志賀氏)

 実際、PCサーバにVMwareを導入し、5個くらいのゲストOSを構築すると、SPARC M10の方が安くなると、志賀氏は指摘する。

シンプルに構築される垂直統合システム

 1台のサーバで業務アプリケーションとウェブアプリケーションなどを動かせるのは、サーバ内に保有しているCPUやコア数を、自由にゲストOSに割り当てられるからだ。例えば4つのCPUを搭載したモデルについて、CPUの一つはデータベースサーバに割り当て、もう一つをウェブサーバに、別のCPUはアプリケーションサーバ、そしてシステム管理用に、といった形だ。さらに、それぞれのサーバに割り当てるCPUコア数も自由に設定可能となっている。

 「この構成であれば、各システムは独立したCPU・メモリ・I/Oバスで構築され、完全にリソースが分割されるので、性能が保証できます。それぞれのシステムで使うCPUコアは必要な分だけオンラインにするので、ソフトウェアの費用は欲しい性能の分だけ。ハードウェアは1台なので、当然運用管理は1つのGUIで全体が管理できます。シンプルな構成が望ましいというお客様には、最適な製品となります」(志賀氏)

 この構成は、さらなる大きなメリットを生み出す。

 従来は、別々に用意されていたデータベースサーバとウェブサーバ、アプリケーションサーバをネットワークで接続し、システム的に連携させてきた。そのためネットワーク帯域やレスポンスがボトルネックとなり、本来のハードウェアの性能をフルに使い切ることが出来ない状態にあった。こうした状況が一変するのだ。

 「データベースサーバと同じ装置内で、ウェブサーバとアプリケーションサーバを収容することで、仮想ネットワークが使えるようになり、レスポンスはネットワークで接続していた場合に比べて5〜10倍も高速になる。構成を変更する際に起こる、ネットワークにつきものの物理的な配線変更も存在しなくなる。これまではボトルネックによって生かし切れていなかったハードウェアの性能を、フルに生かすことが可能となりました」(志賀氏)

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