松岡功の「今週の明言」

NEC「完全復活」の条件

松岡功

2013-02-15 12:07

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今週は、NECの川島勇 取締役執行役員兼CFOと、日本マイクロソフトの加治佐俊一 最高技術責任者の発言を紹介する。

「今年度、何としても黒字化したいという従業員の意識が、構造改革の大きな効果として表れている」
(NEC 川島勇 取締役執行役員兼CFO)

 NECが1月31日、2012年度第3四半期(2012年10~12月)の連結決算を発表した。川島氏の冒頭の発言は、その発表会見で、現在取り組んでいる構造改革の効果の大きな要素を問われて答えたものである。

NECの川島勇 取締役執行役員兼CFO
NECの川島勇 取締役執行役員兼CFO

 同社によると、2012年度第3四半期の連結業績は、売上高が前年同期比7.9%増の7220億円となり、営業利益が前年同期82億円の赤字から244億円に、経常利益が同115億円の赤字から218億円に、当期純利益が同865億円の赤字から34億円に、いずれも黒字転換した。

 また、第3四半期累計(2012年4~12月)の連結業績も、売上高が前年同期比2.7%増の2兆1698億円となり、営業利益が前年同期14億円の赤字から718億円に、経常利益が同219億円の赤字から517億円に、当期純利益が同975億円の赤字から114億円に、いずれも黒字転換した。

 川島氏によると「第3四半期累計では、すべてのセグメントで計画を上ぶれしており、とくにITソリューションとキャリアネットワークが大きく上ぶれしている」とのこと。黒字転換の要因については、売り上げの増加や構造改革の効果などを挙げた。

 構造改革の取り組みについては、第3四半期で130億円、第3四半期累計で260億円の効果があり、当初計画通りに進ちょくしているという。これが、それぞれ第3四半期の営業利益244億円の55%、第3四半期累計の営業利益718億円の36%を占める格好だ。

 ちなみに、2012年10月26日の公表値を据え置いた2012年度の通期連結業績見通しについては、売上高が前年度比3.7%増の3兆1500億円、営業利益が前年度から263億円増の1000億円、経常利益が同280億円増の700億円、当期純利益が同1303億円増の200億円とし、構造改革効果は営業利益1000億円の40%を占める400億円を見込んでいる。

 まさに増収大幅増益を果たしつつある格好だが、同社にとっては業績が好転したからといって安心してはいられない。なぜならば、好転した最大の要因が構造改革効果にあるからだ。引き続き構造改革に取り組むのは重要なことだが、今後はそれにも増して売り上げをどうさらに伸ばすか、つまりは事業そのものをどのように成長あるいは拡大させていくかが、同社の「完全復活」の鍵を握る。

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