2月12日に一般教書演説を行ったオバマ大統領(credit: CBS News)
アップルやグーグルなどの米国系多国籍企業と各国政府との税金をめぐる駆け引き。これまでに何度か取り上げてきた問題だが、ここにきて大西洋を挟んだ両側でまた動きが出てきたようだ。
今回はこの話題に関するアップデートを簡単にまとめてみる。
・税金を払わないIT企業
・続・税金を払わないIT企業
・三度・税金を払わないIT企業
・ハイパー節税策の先駆者 アップル
・アップルの過剰な節税を嘆く地元民
まず、オバマ大統領による年頭の一般教書演説が2月12日(現地時間)にあったばかりの米国側では、これに先だってクリントン政権で財務長官を務めたラリー・サマーズ(註1)が法人税改革に関する意見記事をロイターに寄稿した。
註1:ラリー・サマーズ
クリントン政権で財務長官を務めた後、ハーバード大学学長に。オバマ政権には発足時から経済に関する大統領諮問委員会の委員長も務めていた。
また、シリコンバレーとのつながりが少しずつできている点が見逃せない。
Twitter共同創業者 ジャック・ドーシー率いるスクウェアの社外取締役や、テック系ベンチャーキャピタルの代表格 アンドリーセン・ホロウィッツ(AH)の顧問などを務めている。さらに、FacebookでCOOを務めるシェリル・サンドバーグの指導教官でもあり、世界銀行時代の“元上司”というエピソードも有名だろう。
サマーズの意見記事で目新しいのは「2013年末」という具体的な期限を区切って法人税制の抜本的見直しを薦めるように進言している点だ。
また、国外に積み上がっている米国企業の余剰資金に触れながら、これを有利な条件で国内に持ち込めるようにするタックスホリデーについては「企業側が望んでいるような形で実現できるかどうかはわからないが、ダメならダメで早めにはっきりさせたほうがいい」「米政府による赤字削減の必要性を考えると前回(2004年の時)のようにはいかないと思う」などとも書いている(註2)。
また、次期財務長官候補に指名されたジャック・ルー(註3)は、2月13日に開かれた上院財務委員会での聴聞会(承認を得るためのもの)のなかで「税制改革が最優先課題」と述べたとも伝えられている。ただし、そういう場所柄のせいか、税率の引き下げや「territorial tax」への移行に関する具体的な考えなどはあまり明かさなかったようだ。
註3:ジャック・ルー
現大統領首席補佐官。クリントン政権やオバマ政権で予算関連を統括する行政管理予算局の局長を務める。
一方、欧州側に目を移すと、1月後半あたりからこの話題がにわかに目立ってきた印象がある。