3.テレワークによる働き方の現状
雇用者の在宅型テレワーカーの1週間の行動を分析すると、業務が約46時間、通勤が約8時間、プライベートが約110時間。業務時間のうちおよそ半分の約25時間がヘッドオフィス、自宅が約11時間、サテライトオフィス、モバイル環境はいずれも約4時間だ。
平日の働き方のパターンでみると、1週間のうちヘッドオフィスのみ(テレワークなし)の日が43%、在宅勤務を伴うテレワークの日が11%、在宅勤務を伴わないテレワーク(サテライトオフィスやモバイル環境等のみ)の日が12%だった。このうち、出勤をまったくしない「在宅勤務のみ」は2%にとどまる(図3)。

図3 働き方のパターン
つまり、週に3日程度はヘッドオフィスのみで終日勤務する日があり、「在宅勤務のみ」という日はまれなことだと分かる。テレワークを含む日も、多くはヘッドオフィスやサテライトオフィスを利用し、時間調整をしながらさまざまな拠点でテレワークをしているようだ。
次回以降でこうした現状に即した運用上の課題や、今後テレワークがさらに拡大していった際に直面する課題を整理していきたい。
- 佐藤百合子
- 産業能率大学経営学部 教授
- 専門は労働経済学。日本テレワーク学会理事。東京女子大学卒、名古屋市立大学大学院博士課程退学(経済学修士)。2009年から現職。共著書に「新・生活者からみた経済学」(文眞堂)、「エイジングの社会学」(日本評論社)、近著に「ホワイトカラーと仕事からみたテレワークの在り方」(日本テレワーク学会発表)など。