三国大洋のスクラップブック

インテルはテレビの世界で何をやろうとしているのか - (page 4)

三国大洋

2013-02-21 16:04


 このチームを率いるエリック・ハガーズ(Erik Huggers)は、もともと英BBCのデジタル部門で実績を残した人物。BBCで大ヒットとなった「iPlayer」というサービスを手がけ、その実績を買われてインテルに移籍したという。

 そんな経緯もあり、ハガーズはDカンファレンスでもiPlayerを踏まえたと覚しき機能について言及した。

 2008年はじめにスタートしたiPlayerについて調べてみると、その後順調に成長してきており、この年末年始(12月22日〜1月1日)期間中にはテレビとラジオの両方をあわせて「英国だけで7700万リクエストを記録」などという発表も見つかる

 インテル・メディアのサービスで、いちばん肝心な消費者に対する訴求点については、「いつでも、どこでも、どんな番組でも」観られることになる可能性が高い。

 「いつでも」については、Catch Up機能と称されるもの——いわゆるタイムシフト機能に相当するのだろうが、要は「クラウド上の仮想デジタルレコーダーにアクセスして、過去7日間に放送されたすべての番組が視聴可能」といったものらしい。

 「どこでも」については、プログラミング=コンテンツのバンドルが配信事業者との契約と切り離されることによるものだ。別の土地に引っ越しても、従来と同じ内容のバンドルを契約し続けられるといったメリットに加え、「好きな時に好きな端末で」コンテンツを観られるという側面もありそうだ。前述のBBCブログには、パソコン、モバイル(=スマートフォン)、タブレット、それにネット接続機能をもつテレビのいずれからでも映像コンテンツが観られるなどとする説明があり、端末別のリクエスト数をまとめたグラフなども掲載されている。

 「どんな番組でも」の部分については、タイムシフト機能に加え、ネットフリックスやフールーと競合しそうな過去の番組や映画のオンデマンド配信、さらにライブ放送と、すべての配信形態をカバーする予定だという。また、ネットアプリも対応するらしい。とくに3番目のライブ放送については、スポーツの生中継など広告主からの人気が高まっているものも含まれる。人気が高まっているということは、新規参入者にとっては切り崩しの難しい領域でもあるのだが、「インテル・メディアはすでにCBSとも交渉を進めている」というから、実現に向けた話が案外先まで進んでいるのかもしれない。

 なお、CBSは現在4大放送局のなかで視聴率トップ。広告放送料の上昇が伝えられたスーパーボウル(NFL決勝戦)や、毎年3月のNCAAトーナメント(大学バスケットボールの全米選手権)などの放映権も押さえている。

予想外の一手を打つインテル

 インテル・メディアについてほかに現時点でわかっているのは、製品やソフトウェアUIの開発・マーケティングなどに関し、さまざまなバックグラウンドをもつ人材を集めていること。

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