テレワークの現状と課題

再考 在宅勤務(2)--テレワーク普及を阻む3つの壁 - (page 2)

佐藤百合子(産業能率大学)

2013-02-25 18:19

テレワーク導入の利点

 実際にテレワークを導入している企業にヒアリングをしても、それほど不便は感じていない。なぜならば、週1回か2回程度のテレワークでは、人事管理にしてもログを追っていけば仕事の進捗状況が見られるし、顔を合わせないからと言って、その人の能力が分からないという事もない。

 もちろん、テレワークが半年とか1年間にわたって続くとなったら状況が変わってくるだろうが、週に数日程度導入しても差し障りはないということである。

 反対に、企業も経営管理コスト、特に交通費や事業継続という意味で利点はある。例えば、管理者なら認可の印を押すためだけに職場にいなくてもよくなる。つまり、テレワークはどこにいても(海外でも)、いつの時間でも、必要ならば、会社にアクセスすればいいのである。

 現代は、ビジネスのサイクルが短くなっている。仕事に穴を開けたら、それだけ進むのも遅くなり、機会を逃がしてしまうことだってある。そのような時に、テレワークという働き方はとても便利であり、企業と雇用者の両者に利点がある。

 今後、テレワークをうまく導入し、定着率が高まれば、日本全体におけるホワイトカラーの生産性向上が期待できる。

佐藤百合子
産業能率大学経営学部 教授
専門は労働経済学。日本テレワーク学会理事。東京女子大学卒、名古屋市立大学大学院博士課程退学(経済学修士)。2009年から現職。共著書に「新・生活者からみた経済学」(文眞堂)、「エイジングの社会学」(日本評論社)、近著に「ホワイトカラーと仕事からみたテレワークの在り方」(日本テレワーク学会発表)など。

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