日本IBMは2月26日、企業向けPaaS「IBM SmarterCloud Application Services(SCAS)」の提供開始を発表した。企業向けIaaS「IBM SmarterCloud Enterprise(SCE)」の上で稼働する。
SCASは、ウェブサーバやウェブアプリケーションサーバ、データベース、ディレクトリ、負荷分散などさまざまなミドルウェアやコンポーネントについて、アプリケーションの開発から構成、統合、保守などに必要な情報をあらかじめ定義した“パターン”や仮想イメージを活用する。
パターンや仮想イメージを活用することで、アプリケーションの開発期間の短縮、ライフサイクル管理の効率化、運用のセミオートメーション化を実現できるとメリットを強調している。パターンや仮想イメージを活用して開発したアプリケーションは、IBMが提供するクラウドやプラットフォームに容易に複製したり、展開したりすることが可能であり、ユーザー企業のニーズに応じて柔軟にシステムを選択したり、構築したりすることもできるという。
SCEを契約しているユーザー企業であれば、追加の契約をせずにSCEのポータルサイトから利用できる。SCASの価格は、サービスや機能、ミドルウェアごとにユーザー数や使用時間に基づいて設定されており、月額定額制か従量課金制を選択できる。現在提供されているSCAS R1.0は、「Collaborative Lifecycle Management Service(CLMS)」と「Workload Service」の2種類を利用できる。
CLMSは、アプリケーションをライフサイクルで管理するソフトウェア「IBM Rational」を活用して、協働で開発するとともにアジャイル開発を支援する開発環境を提供する。CLMSはユーザー単位の月額課金で利用できる。要求管理の「Rational Requirements Composer」、計画から変更、構成、ビルドを管理する「Rational Team Concert」、品質管理の「Rational Quality Manager」といった機能を利用できる。
Workload Serviceは、IBMが提供するハードウェアアプライアンス「IBM Workload Deployer」の機能を利用できる。Workload Deployerは、定義済みのパターンと仮想イメージで、アプリケーションを迅速に実装でき、ミドルウェア「IBM WebSphere」シリーズの環境のセットアップ時間を週単位から分単位に短縮できるという。ハイパーバイザ「PowerVM」環境の上のUNIX「AIX」にも仮想アプリケーションを実装できる。
ウェブアプリケーションやデータベースなどの仮想パターンも月額料金で利用できるという。SCASでは機能が随時リリースされていくと説明している。IBMでは、SCASについて、開発と運用を一体化した“DevOps”を推進できると説明している。