各界のエグゼクティブに価値創造のヒントを聞く連載「ZDNet Japan トップインタビュー」。今回はタレントマネジメント・ソリューションを提供するSaba Softwareの社長、ジェフ・カー氏に話を聞いた。
Saba Softwareは毎年1月にその年のトレンド予測を発表し、それを「New World of Work」と呼んでいる。カー氏には2013年の「New World of Work」で、同社がとくに注目する7つのトレンドを説明してもらった。

「仕事」や「働き方」の新しいあり方を1時間以上にわたって熱心に説明したジェフ・カー氏
1. 高まる「超専門家」の需要
まず一つ目のトレンドは「超専門家」の需要が非常に高まっていることだ。国によって多少の事情の違いはあるが、これは契約社員やフリーランサーなどの中で、特殊な分野のスキルや経験に長けた人たちへの依存度が高まっていることを示している。
もちろん、一般的な仕事のノウハウを備えた社員も必要だが、それに加えて、この「超専門家」を活用する場面が増えているのだ。
また一方で、不特定多数の人に業務を委託する新しい形態として「クラウドソーシング」に対する需要も高まっており、さまざまなスキルを求めて作業を再配分するという動きが、多くの企業で見られるようになっている。
2. コンテンツのソーシャル化とHD化
モバイルデバイスが普及していく中で、人々が消費するコンテンツのタイプも多様化してきている。このトレンドは、HDビデオストリーミングやリアルタイムのニュースフィードなど、コンテンツをグローバルに提供できるようなプラットフォームへの需要が高まっていることを示している。
具体的には「ライブミーティング(オンライン会議)」「ウェビナー(ウェブでセミナーを受講)」「バーチャル・クラスルーム(ウェブで学習)」などでモバイル対応の需要が高まっている。しかも、接続スピードが遅い地域においても、それらのコンテンツに対応できることが求められている。
製造業では生産拠点のグローバル化とダイバーシティ化による多言語化が進んでおり、とくに若い従業員が、仕事場でもモバイルデバイスを使ってコンテンツを活用したがる傾向にある。そのため、企業用のアプリケーションやコンテンツではなく、仕事でもプライベートで使っているようなITの利用形態が望まれている。
3. コラボレーションの推進
3つ目のトレンドとしては、人と人のコラボレーションによる協業が非常に多く見られるようになってきていることだ。
自社の従業員のネットワークだけでなく、パートナーや顧客、サードパーティー、個人、OEMやサプライヤーも含めてネットワークを形成し、コラボレーションを進める企業が増えている。。これらの人たちすべてがネットワークの一部をなしているという考え方は、Sabaのソフトウェアを導入している企業にも顕著にみられる傾向だ。
日本企業の人と話をすると、「まだ、そこまではできていない」といいつつも、「将来的には必ずそうなる」という人が多い。その意味では、会社の壁を取り除いてネットワークを拡大し、それぞれの知恵を活用することに対する企業の興味は、非常に高いといえるだろう。