かつての強みを土台にクラウドカンパニーへと進化するシトリックス

冨田秀継 (編集部)

2013-02-28 15:28

 シトリックス・システムズ・ジャパンは2月28日、都内で2013年の事業戦略を説明する記者会見を開催した。米本社の幹部が同社の立ち位置を明確に示すとともに、日本での業績報告、さらには国内初提供となる製品も発表した。

 シトリックスは今、NetScalerで培ったアプリケーションデリバリーのノウハウ、Xenで育んだ仮想化技術を土台に、モバイルワークスタイルを支えるクラウドベンダーに変わろうとしている。

 米Citrix Systemsでセールスとサービスを担当するシニアバイスプレジデントのAl Monserrat氏は、「Citrixは長期的なビジョンと投資にコミットしつづけてきた」と強調した上で、同社を「モバイルワークスタイルを実現するクラウドコンピューティングカンパニー」と位置づけた。製品展開や研究開発などのあらゆる投資は、モバイルワークスタイルの実現を目的としているという。

 Monserrat氏は「『ワーク』という言葉は単に『仕事』を意味するものではなく、『実行する』ということだ。だからこそ、いつでも、どこでも、どんな環境にいても仕事ができる=実行できることが大切である」と述べ、このビジョンを実現するために同社の製品群が開発されていることを示した。

 「ワークとライフの切り替えをシンプルにしていくことが重要。調和の取れた仕事と生活をすべての人々が送れると信じている」(Monserrat氏)

国内向けにもモバイル製品を投入、シフト鮮明に

 日本での事業活動の成果と展望については、シトリックス・システムズ・ジャパン代表取締役社長のMichael King氏が説明した。

 日本法人は2012年、成長著しいアジア太平洋(APAC)、あるいは北米や欧州中東アフリカ(EMEA)の各地域を押さえて、対前年成長率でナンバーワンを獲得したという。King氏は「社長になって4年になるが、そのうちの2年で対前年成長率1位を獲得した。日本は最も高成長の市場だ」と誇らしげに語った。

 この成長をけん引したのは、デスクトップ仮想化製品だ。King氏が特に強調したのはXenDesktopで、「2012年に日本では(前年の)3倍の顧客採用があった」という。

 さらにシトリックスは同日、エンタープライズでの利用に対応するモバイルデバイス管理(MDM)の新製品「XenMobile MDM」と、モバイル管理製品群の「モバイル ソリューション バンドル」の国内提供を発表した。

 XenMobile MDMは、登録したデバイスに対して自動的にポリシーの適用やアプリケーション配布を実行できる製品。モバイル ソリューション バンドルは、XenMobile MDMとCitrix CloudGatewayを組み合わせ、包括的なモバイル管理を支援する製品となる。具体的には、MDM機能に加え、メールやデータ、ブラウザを、IT部門が指定するポリシーに準拠した形で従業員に利用させる機能や、私物デバイスに仕事用の領域を別に設けてセキュリティの確保と集中管理を実現する「モバイルアプリコンテナ」、ID連携とシングルサインオンなどの機能を提供する。

 シトリックス・システムズ・ジャパン マーケティング本部 本部長の伊藤利昭氏は、モバイル ソリューション バンドルについて「BYODにも対応できる」と自信を見せている。

 また、2011年に買収したファイル共有サービス「ShareFile」についても、国内でXenDesktopによるオンデマンド同期に対応することが発表された。また、データの重要度に応じてオンプレミスかクラウドか、保管先のストレージを選択できる「ShareFile with StorageZones」の国内提供も発表している。

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