富士通「SPARC M10」は「どんと来い!マシン」(後編) - (page 2)

三浦優子

2013-03-05 12:00

様々なパートナーとの連携あってこそ実現する高性能

 志賀氏が「富士通の大きな強み」としてもうひとつあげるのが、「富士通はハードウェアだけでなく、ミドルウェアのようなソフトウェアを開発し、さらに全世界のパートナー企業と密接な連携関係を持っていること」だという。

 「いくら新しい技術を開発したといっても、対応するソフトウェアがなければ意味はありません。新しい技術を生かした高速処理を実現するためには、ミドルウェアなどソフトウェアとの連携をとることが不可欠です。それを実現するためには、富士通自身のソフトウェアを開発する力、パートナーと協議できる密接な関係を持っていなければならないのです」(志賀氏)

 パートナーといえば、Oracleの存在を忘れることはできない。2012年9月に米サンフランシスコで開催された「Oracle OpenWorld 2012」の会場には、「Athena」の開発コードネームでSPARC M10が展示された。

 実際に発売するにあたり、SPARC M10の最下位モデル「SPARC M10-1」は220万円からとコストパフォーマンスの高い設定となった。こうした思い切った価格付けなど、Oracleからはどう評価されているのだろうか。

 「もちろん、事前に協議はしています。価格が低すぎるのではないか?という否定的な意見はありましたが、むしろ、競合メーカーの製品が同じような戦略で来るよりも前に動いた方が望ましい、と考えました。ただ、唯一注文がついたのは、世界一速いハードウェアを作って欲しいということでした」(志賀氏)

今後も続くSPARCチップの開発

 それでは今後のSPARC M10はどう進化していくのか。

 「スパコンの高速メモリ、インターコネクト技術を応用しているという話をしましたが、通常の業務システムをこのような環境で動かした時に、次にどのような課題が見えてくるのか、これからのお客様の反応を楽しみにしています。お客様の声を伺い、次に来る課題をお客様よりも先に見出して改良し、これまでのコンピューティング技術を超えるものとしていきたいと思っています」(志賀氏)

 発表前より、すでに100件を超える商談があり、商品評価を行っているユーザーも多数存在している。SPARC M10の活用について、志賀氏は次のように述べている。

 「SPARC M10の本質は、単なる基幹システムのコストダウンではありません。顧客の稼働資産をそのまま移行できるSPARC M10、そしてビックデータを基幹システムに取り込めるだけのスケーラビリティがあります。富士通が目指しているのは、顧客資産を活用するモダナイゼーションと、新技術を活用したイノベーションを、サーバ内でリアルタイムに連携させることなのです」(志賀氏)

 富士通が目指すこれからの顧客システムを、このサーバが「どんと来い!」と支える姿が見えるようだ。

 さて、SPARC M10はリリースされたばかりだが、搭載する次期SPARC64プロセッサ、次々期SPARC64プロセッサの開発がすでに始まっている。

 次期SPARC64プロセッサは2013年後半から2014年にリリースされる見込みで、28nm強化版となり、次々期SPARC64プロセッサは2014年後半から2015年にリリースされる見込みで、20nm強化版となることがロードマップで公開されている。

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