アマゾン、グーグル、スターバックスというハイパー節税三兄弟
2月にハイパー節税関連の動きがもっとも活発にみられたのは英国だ。
以前も触れた通り、G20開催前には、4月から「税金逃れが甚だしい企業には政府機関への納入を禁じる」とする考えを、ダニー・アレクサンダー財務省首席担当官が示した。
G20後の週明けには、インドを訪問していたデビッド・キャメロン首相からも、ハイパー節税を牽制すると受け取れる発言があった。「合法的な節税策と違法な脱税行為は確かに別のものだが、いくら合法といってもあまりに度が過ぎるものは道義的に問題がある」とする主旨の発言をしたという。
先週結果が発表された英国の4G周波数帯オークションでは、国の懐に入る入札金額の総額が予想の3分の2にしかならないことがわかった。
予想額の約35億ポンドをあてにして、すでに財政赤字削減計画を立てていた保守党政権に対して、「約12億ポンドの不足額をどう穴埋めするのか」「(約12億ポンドを)そっくり借り入れで済ませてしまっては、国の借金はいっこうに減らない」などとする声もあがったという。
財政再建に向けて打ち出した緊縮策が有権者から不評を買い、労働党に支持率で抜かれた保守党の党首としては、ポイント稼ぎにつながる挽回のきっかけが一つでも多くほしいところかもしれない。
なお、キャメロン首相の発言の翌日には、労働党のエド・ミリバンド党首がこの法人税問題に関して「労働党が政権をとれば、英国内で事業を展開する企業に対して実際の売上高と納税額の報告を義務付ける」との考えを示し、「生活に困っている人も大勢いるのに『各国と足並みを揃えて……』などと呑気に構えているわけにはいかない」として、7月のG20をメドに動く考えを示した政権側を牽制する発言もしたという。
なお、先に触れたReutersの記事には、アマゾン、グーグル、スターバックスの名前が出てくる。英国では2012年11月中旬に3社が下院小委員会で開かれた聴聞会に呼び出され、証言を行っていた。それ以来、法人税に関わる問題を扱った記事には、Bloombergなども含めて、必ずこの3社の例がワンセットで書かれているような印象も受ける。
一方、ドイツでは9月の国政選挙を控え、三期目を狙うメルケル首相が今月中旬にあったキリスト教民主同盟の集会でこの問題を採り上げ、「欧州や米国などで大規模に事業を展開する巨大企業が、タックスヘイブンで税金を納めるという行為は許されない。そうした行為を止めなくてはならないし、私はそのために戦う」として、6月に英国で開催される今年のG8ではこの問題の解決に向けて他の各国首脳に働きかける、と述べたという。