ビジネスという観点から見た場合、装着者は常時接続によって周囲の環境に対してより注意を払うようになるため、より望ましい潜在顧客となるという利点もある。Google Glassのようなコンセプトを用いて近所のリソースを見つけるという利用方法を考えた場合、筆者は真っ先に寿司屋や喫茶店、居酒屋の検索を思い浮かべる。確かにスマートフォンでもこういったことは可能であるが、どれだけ器用であっても、スマートフォンの画面と周囲の環境を同時に見て、得られた情報を効果的に利用することはできないはずだ。
とは言うものの、広告や、顧客を引きつけるという明白な利点については、ここで横に置いておきたい。これ以外にGoogle Glassのようなコンセプトは、ビジネスに対して何をもたらしてくれるのだろうか?飛行機の運航状況という先ほどの例では、ビジネス旅客にとっての魅力が示されている。コンシューマーテクノロジと企業テクノロジの融合というこの時代には、こういったことが当たり前になるはずだ。またGoogle Glassのおかげで、携帯電話の使用によって引き起こされていた多くの事故を防げるようになり、病院や保険会社、救急隊員の仕事が楽になるはずだ。Answersによると、携帯電話の使用によって引き起こされる事故は米国で年間140万件にも達しており、そのうちの20万件は運転中にテキストメッセージをやり取りしていたせいで起こった事故なのだ!今でも音声によって操作できるハンズフリーフォンが利用できるものの、Google Glassはそのアイデアをさらに推し進め、道路から目をそらさずに視覚情報を得られるようにしている。こういったことが可能になるかどうかはもちろん、運転中の装着者の気を散らさずに、Googleが視覚データを上手に提供できるかどうかにかかっている。
また、「テクノロジによって、われわれの社交性が実際に低下しつつある」という主張を覆す可能性もある素晴らしいコンセプトがある。Google Glassは、あなたの前に立った人の詳細な情報を取得できるよう、顔認識機能も提供している。
上の写真を見る限り、Paulは既にGoogle Glass装着者の友人(少なくとも顔見知り)のようだが、この機能の真価はビジネスカンファレンスの場などで発揮されるはずだ。つまり、同じような経歴の人や、共通する友人のいる人、あなたやあなたの会社が参入している市場の関係者といった、カンファレンスの参加者についての情報が得られるようになるわけだ。これは顧客を魅了するだけでなく、関連データを利用することで効果的な関係を築き、あなたにアドバンテージをもたらすものとなるだろう。もちろんこれには、プライバシーに対する懸念という負の側面もある。また、ずさんな使用によって思わぬ弊害がもたらされるという可能性については言うまでもない。筆者は、この顔認識機能を嫌がる人々のために、同機能を無効化する製品を発表する企業も出てくるかもしれないと考えている。