--サイバースペースには国境がないため、国家としての取り組みを進めるのは難しいのではないか

退役海軍少将のマイケル・ブラウン氏は、自身の軍歴の終盤にサイバーセキュリティを担当していた
Brown氏:国境がないように見えても、サーバやユーザーはどこかの国に所属しているため、実際には地理的領域や統治権が関わってくる。サイバースペースそのものは国境に関係なく誰もが利用できるが、その場所や統治権に沿った基準や規範が必要なのだ。
ただし、多くの企業はグローバルに事業を展開している。グローバルな環境では、関係者の多くが同意でき、守ることのできる基準を決める必要がある。例えば米国の規制が、他国では弊害をもたらすこともある。われわれは歴史から学ぶこともできるが、この新しい環境に対応する方法を見いだしていかなくてはならない。
--一部でサイバースペースの軍事化も進みつつあるが、サイバー兵器についてどう考えているか
Coviello氏:サイバー兵器はあまり好きではない。目的が正しいからといって、どんな手段でも許されるわけではないからだ。サイバー兵器を持った結果、行き過ぎた対応をとってしまうことを心配している。
われわれは、あまりサイバー外交に真剣に取り組んでこなかったのではないかと思うことがある。この問題について、はっきり反論した国はあっただろうか。この問題をどう解決すべきか、意味のある対話をしたことがないような気がしている。
核兵器が善か悪かと聞かれると、悪と答える人が多いだろう。核が引き起こした惨事を思い起こすからだ。核兵器を悪だと考えるからこそ、核に関する新たな惨事を回避できている。第三次世界大戦が起こらないのは、他国を破壊すれば自国の破壊につながることがわかっているためだ。われわれは技術がもたらす影響を理解しているのだ。
しかし、核医学となると話は別だ。核医学で、核兵器の惨事を思い起こす人はいないだろう。
これから20年後に、サイバースペースが悪だとみなされてほしくはない。この世界はすばらしく、サイバースペースのおかげで大きな恩恵を受けたと皆が感じるようになっていてほしいと願う。だから、サイバー兵器の開発やサイバー戦争に進むことは間違っている。
この世界ですばらしいコミュニケーション機能を築くべきなのだ。20年後、サイバースペースの発明はすばらしいものだったと言い合おうじゃないか。
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