費用対効果分析の一部として、BYODが従業員の士気や生産性に対してどのような影響を与える可能性があるかを考えることは、役に立つかもしれない。これを、予算的な考え方で定量化することは難しいかもしれないが、BYODが技術に詳しい従業員の仕事に与える影響について考えておくといいだろう。
7.BYOD関連の手当や支給金
最近ではモバイルデバイスを所有していることは当然だと考えられているが、従業員による会社支給のモバイルデバイスの使用は、従来は職種や職位に応じて考えられてきた。すべての従業員に対してBYODを許すことで発生する手当や支給金は、会社にとってかえって経費を増やすことになる可能性がある。
企業が音声通信およびデータ通信プランを購入する場合は、企業向け割引を使用できるというメリットがあるため、企業と個人による通信プランの購入価格の違いが、BYODに対してマイナスの影響を与えることも考えられる。
現在使っているモバイルプロバイダの法人営業担当との打ち合わせは、BYODを準備する上で必ず必要だ。
8.リスク管理経費
私は、ある朝ネットを見て、BYODが原因とされる初の大規模なセキュリティ侵害事件のニュースを読む時が来ると思っている。問題がすでに発生しているのは間違いないが、私が言うのは、主要ニュースのヘッドラインを飾り、BYODを行おうとしている大小の組織に影響を与えるほどの大規模な侵害だ。
9.社内アプリ開発コスト
多くの組織では、事業を運営する上で、重要だが古いアプリケーションをいくつか使っているものだ。これらのアプリケーションをBYODユーザーにも使えるようにするためには、もともとのアプリケーションの要件にはなかったアプリ開発と維持が必要になる場合がある。
10.従業員が顧客により素早く対応できることのメリット
これも、測定するのが難しい項目の1つだ。これには、企業の価値観や本気度のチェックが必要となる。個人のモバイルデバイスから会社のネットワークにアクセスできるようにすれば、従業員はより迅速に顧客に対応できるようになるはずだ。生じるのは、企業が陥りがちなワークライフバランスの問題ばかりとは限らない。
費用対効果分析の価値
BYODの費用対効果分析は、取り組みの現実的な側面を妨げることもあるアナリストや専門家、BYODに関するさまざまな言説から離れて行われるものだ。この分析はまた、BYODを成功または失敗させる可能性がある、職場や財務の現実を知るための役に立つはずだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。