IDC Japanは3月12日、国内のエンタープライズアプリケーション(EA)とビジネスアナリティクス(BA)のユーザー企業のニーズの動向を調査した結果を発表した。EAは順調に企業への浸透を続けており、更改需要が占める比率が増加。BAはEAと比較して導入率が低く、今後も新規需要が期待できる余地が大きいと説明している。
同社は2012年12月に、従業員10人以上の国内ユーザー企業1072社を対象に調査。財務会計や人事給与、販売管理、サプライチェーン管理(SCM)、製造といったEAの導入率はいずれも50%を超えている。同市場は今後、刷新が主体になっていくとしている。
一方のBAの導入率は、データウェアハウスで約23%、ビジネスインテリジェンス(BI)で約17%、統計解析やデータマイニングで約16%、顧客情報管理(CRM)アナリティクスで約15%、会計パフォーマンスや戦略管理、ガバナンスリスクコンプライアンス(GRC)で約23%、SCMアナリティクスで約11%、テキストマイニングやテキスト分析で約9%と、EAと比較して低い結果となっている。
現在のBA活用レベルと1年後に目指すBA活用レベルも調査。平均BA活用レベルは現在、業務改善に適用するレベルとなる1.9から、統合された業績管理に適用するレベルと言える2.8に上昇している。BAの活用に対する意欲がうかがえ、今後の新規需要が期待される領域であることを示していると説明している。
BAの導入状況と、調査対象企業での2012年度の業績との関係も調査している。前年比でプラス成長となる企業では、マイナス成長となる企業と比較して、統計解析やデータマイニング、CRMアナリティクス、会計パフォーマンスや戦略管理、GRC、SCMアナリティクスの導入率が高いことも判明している。IDC Japanの浅野晋平氏(ソフトウェア&セキュリティリサーチアナリスト)が以下のようにコメントしている。
「EAに対する企業の期待は、生産性向上によるコスト削減であったが、BAに対する企業の期待は、持続的な成長を維持するための売上向上にあると分析している。BAへの期待が高まるなか、ソフトウェアベンダーやITソリューションプロバイダーは、個々の顧客の課題を整理し、適用エリアを見定めた上で、具体的な活用イメージに基づいた投資対効果を提示する必要がある。その成果の実現に向けた活用支援を継続していくことも求められている」

現在のBA活用レベルと1年後のBA活用レベル(出典:IDC Japan)