こうしてみると、これからのIT市場は垂直統合型ビジネスを成功させたベンダーが勝者になるということか。ユーザー視点からすると垂直統合型ビジネスには異論もあろうが、この傾向はますます強まりそうだ。
となると、ベンダーの錚々たる顔ぶれからみても明らかなように、これはまさしく企業ブランドをかけた戦いといえそうだ。
「競合他社をリードするコンビニエンスストア向け店舗システムの実績をもとに、APAC地域へ本格的に打って出たい」 (NEC 木下学 執行役員常務)
NECが3月4日、経済成長が続くアジアパシフィック(APAC)地域において流通・小売業向けビジネスを強化すると発表した。木下氏の冒頭の発言は、その発表会見で同社の強みをもとにビジネス強化への意気込みを語ったものである。
NECはこれまで、国内の大手小売業向けを中心に、店舗での売上・発注・棚卸・検品業務から本部での店舗管理および商品管理までを網羅するPOSシステム、ハンディターミナルシステム、店舗バックオフィスシステム、本部システムをトータルソリューションとして提供してきた。
NECの木下学執行役員常務
今回の新たな動きは、それらのソリューションをグローバル向けに標準化し、システム企画から開発、導入/展開、運用/保守に至るノウハウとともに、APAC地域の統括会社であるNECアジアパシフィックに専門組織を今年5月に設立して展開しようというものだ。
新設する専門組織の名称は「Regional Retail Business Support Center(RBSC)」。ここで地域戦略の立案やセールスサポート、技術サポート、人材育成などを行い、マレーシア、インドネシア、タイなどNECのAPAC地域の各現地法人と連携しながら、コンビニエンスストアやドラッグストアなど多店舗展開型小売業に対し、現地主導できめ細かいソリューション提案やサポートを遂行する構えだ。
NECは、この分野ではとくにコンビニエンスストア向け店舗システムで競合他社をリードしており、「国内にあるおよそ4万5000店のうち、セブンイレブンやローソンをはじめとして3万店余りにはNECの何らかのソリューションが使われている」という。
こうした強みをもとに、「多店舗展開型小売業を支えるためのITサービスのライフサイクルマネジメントをフルラインで提供する」のが、同社のビジネスの差別化ポイントだとしている。
2017年度にはこの流通・小売業向けビジネスにおける売上高として、APAC地域で現在の約8倍の200億円、グローバル全体では同5倍の1000億円を目指すという。これにより、「この分野の海外比率は現在1割程度だが、2017年度には3~4割に引き上げる」と木下氏。NEC全体としても今、海外比率のアップが最大のテーマとなっているだけに、今回の動きが果たしてその弾みとなるか、注目しておきたい。
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