本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、米Big Switch NetworksのGuido Appenzeller CEOと、ガートナージャパンの長谷島眞時 グループバイスプレジデントの発言を紹介する。
「日本のSDNは米国とともに世界で最も進んでいるため重要な市場だ」 (米Big Switch Networks Guido Appenzeller CEO)
米Big Switch NetworksのGuido Appenzeller CEO
SDN(Software Defined Networking)ソリューションを提供する米Big Switch Networksが3月5日、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)およびネットワンシステムズと販売代理店契約を結び、日本市場に参入すると発表した。Guido Appenzeller(グイド・アッペンツェラー)氏の冒頭の発言は、その発表会見で、日本市場参入への意気込みを語ったものである。
Big Switchが日本市場に投入するのは、OpenFlowコントローラ「Big Network Controller」、ネットワーク仮想化ソフトウェア「Big Virtual Switch」、ネットワーク監視アプリケーション「Big Tap」の3製品。Big Network Controllerは、同社がオープンソースとして公開するOpenFlowコントローラ「FloodLight」の機能強化版で、1000個以上のスイッチの管理と1秒あたり25万件の新規のホスト接続を処理できる拡張性を備えているという。
Big Network Controllerと連携して機能するBig Virtual Switchは、最大3万2000の仮想ネットワークセグメントをサポートし、ラック当たりの仮想マシン数を最大50%拡大可能。Big Tapは、エンタープライズレベルでネットワークを一元的に可視化し、セキュリティツールやパフォーマンスツールなどと連携してコスト効率の高いネットワーク監視を実現できるとしている。
2010年に創業したばかりのBig Switchが注目されるのは、SDNの中核技術であるOpenFlowを生み出した米スタンフォード大学のメンバーを中心に設立された会社だからだ。いわばSDNの本家本元である。CEOを務めるAppenzeller氏は共同創業者の1人で、それまでスタンフォード大学の教授としてOpenFlowの初期バージョンの開発を行う研究チームを統括してきたキーパーソンである。
そうした背景から、同社が提供するテクノロジーの最大の特徴となるのは、まさしくオープンであることだ。その製品群は、業界標準のAPI、オープンソース、そして特定のベンダーに依存しない物理/仮想双方のネットワークアプリケーションをサポートしている。
これにより、SDN関連製品を手がける有力なベンダーの大半とパートナーシップの締結や相互接続実証を行うなど、オープンなエコシステムを構築している。また、資金面でも複数の有力な投資機関から4500万ドル以上の出資を受けており、今後の活躍ぶりに大きな期待が寄せられている。