ヘッジファンドの大物連中がメンツをかけた大勝負の真っ最中 - (page 3)

三国大洋

2013-03-26 16:21

 その後、2011年5月初めのHerbalife決算発表の際、Einhorn氏が「売上のおよそ何割程度が実際の消費者の手元に渡ったのか」と質問したところ、「ざっくり7割以上だと思うが具体的な数字は把握していない」という予想外の回答がHerbalifeの社長からあり、これを聞いた株主から売りが出て、同社株価はこの日70ドルから56ドルまで急落した。上掲のHLF株価グラフの左側の方に見える大幅下落がそれにあたる。

 Einhorn氏の質問を耳にして、Ackman氏はいよいよHerbalifeの空売りを仕掛ける腹を決め、その後着々と準備を進めた。そして、2012年のクリスマス直前に事実上の作戦開始を知らせる発表イベントを開催。その発表のなかでAckman氏は「Herbalifeのビジネスモデルがいずれ立ちゆかなくなる」という理由=なぜ自分は株価が下がると考えたのかの説明とともに、この勝負は「Herbalifeに騙されて、大金持ちになる夢を見続けている世界中のディストリビュータのための戦い」「この勝負で儲けた利益は、すべて慈善団体に寄付する」などと宣言してみせたことから、同業者の間からは反発の声が上がり、たとえば長年互いに敵対関係にあるファンドマネージャーは「あんな戯言を真に受けるやつがいるとすれば、相当な世間知らず」「Ackmanが巨額の利益追求を狙ってやった空売りでHerbalife関係者が被る被害の方が、それで救われることになるディストリビュータの利益よりはるかに大きい」などとコメント。Ackman氏はこのライバルについて「アイツは頭がおかしい」(He's a lunatic)などと言っていたりもする。

 また、Ackman氏のそんな正義漢ぶったところがIcahn氏も気に入らなかったらしく、Bloomberg TVとの電話インタビューでも「企業の不正を正したいのだったら、ヘッジファンドなんかやめてさっさとSEC(証券取引委員会)にでも勤めた方が良い」などと言っている。

ダン・ローブのリベンジ

 Ackman氏のプレゼンテーションをきっかけに、Herbalifeの株価は発表当日(12月18日)の42ドル50セントから、24日には26ドルまで大幅に下落した。ここまではAckman氏が狙った通りの展開だった。

 ところが、そこで思わぬ敵が出現する。Third PointのLoeb氏である。

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