ヘッジファンドの大物連中がメンツをかけた大勝負の真っ最中 - (page 4)

三国大洋

2013-03-26 16:21

 Vanity Fairによると、Loeb氏はかつてAckman氏のファンドに2億ドル前後を投資、結局1億7500万ドルも損させられた過去があり、それ以来二人は「相手のことをひどく嫌い合っているような間柄」(観測筋)だという。(註3)

 空売りする側にとって最悪の事態は、ほかの市場参加者が自分と逆の動きをすること。つまり、標的とする株式の買いに回られて株価がつり上がってしまうことだ。

 Ackman氏と忌み嫌い合う間柄のLoeb氏は、まさにそうした動きに出た。

 Loeb氏がここぞとばかりに買い集めたHerbalifeの株式は全体の8.24%にもなり、Loeb氏のファンドは約3億ドルの資金を投じて一気に2番目の大株主になってしまった。

 Loeb氏ら反Ackman陣営の中には、こんな計算を働かせた者もいたようだ。というのは、30年以上も存在しているMLM業者を、公正取引委員会(FTC)が今さら「ネズミ講」だといって取り締まる可能性は高くないこと。Herbalifeに手をつければ、FTCとしてはAmway、Avon Products、Tupperwareといった他のMLM業者も取り締まらなくてはならなくなるだろう。さらに、たとえ米国内で規制がかかったとしても、Herbalifeの場合は売上の8割が海外市場だからその影響は限られる——そんな計算もあったようだ。

 Loeb氏は投資家宛の書簡で、そんな自分の考えとともに、Herbalifeの株価が70ドル前後の水準(Ackman氏による爆弾発言前の水準)まで簡単に戻るという見通しを記した。そして市場関係者の一部もこの動きに同調した結果、同社株価は約10パーセントも値上がりしたという。

 これに続く1月半ばには、Icahn氏がHerbalife株式を入手し始めたことが明らかになった。そして2月中旬までの約1カ月間でIcahn氏が買い集めた株式は全体の13%弱に達し、しかも同氏がHerbalife経営陣と「株主価値引き上げに向けた話し合いを持つ」ことを示唆。同社株は前日比で2割以上も高い46ドル22セントをつけた。Ackman氏にとって、この株価急上昇は「バレンタインデーの虐殺」と評するライバルの声も紹介されている。

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