活用マニュアルは、大阪府の協力により、日本マイクロソフトのサイトで公開する。
大阪府教育委員会・中西正人教育長は「1人の生徒のメールがきっかけになって、2012年度の新規事業として、入院中の生徒の学習を支援するために、病院に講師を派遣するといった取り組みを行ってきた。その中で日本マイクロソフトからの提案により、遠隔授業サポートシステムの検討を開始した。既存の資産を利用し、新たな費用を負担せずに活用できるといったメリットがあった」と話す。
また、授業支援を目的にしているものの、病気療養の生徒が休み時間に仲間とコミュニケーションを取り、クラスとしての連帯感が生まれ、生徒が生きる勇気を持てたなどの副次的な成果もあったという。「制度上の課題解決などの取り組みを通じて、今後の遠隔授業の活用につなげたい」と加えた。
大阪府教育委員会によると、府立高校に在籍していて、病気やけがなどで30日以上の長期登校が困難な生徒は約500人いるという。
大阪府教育委員会・陰山英男委員長は「学びたいと思う子供の気持ちに応えたものになる。こうした学びの場が提供されるのはすばらしいことである。今後は、不登校の子供たちへの活用のほか、登校しないで授業を受けるといった仕組みの提案や、他校の生徒が授業を受けるといったことにまで応用範囲を広げる可能性も出てくる。これは、子供たちの学びの場を広げていくことにもつながるだろう。学校制度や教育そのものを変えていく道を拓いたものになる」などと話した。
会見はLync Onlineにより、大阪府庁と日本マイクロソフト本社、出席者である大阪府教育委員会・陰山英男委員長がいる銀座の会場とを結んで行われた。
遠隔授業サポートシステムの概念図