松岡功の「今週の明言」

Notesのソーシャル化にみるIBMのしたたかな戦略 - (page 2)

松岡功

2013-03-29 12:29

 ただ、IBMもマイクロソフトもサイボウズも、今ではグループウェアではなく「コラボレーションソフトウェア」と呼んでいる。

 このコラボレーションソフトウェアの名のもとで、グループウェアとソーシャルメディアの融合が進んでいくのは間違いなさそうだ。


「ベンダーロックインにノーと言い、自由にイエスと言おう」
(OpenStack Foundation Mark Collier COO)

OpenStack Foundation Mark Collier COO
OpenStack Foundation Mark Collier COO

 クラウド関連企業など17社および団体が加盟する日本OpenStackユーザ会(JOSUG)が3月12日、オープンソースのクラウド基盤ソフトウェアである「OpenStack」をテーマにしたカンファレンス「OpenStack Day Tokyo 2013」を東京・秋葉原で開催した。その基調講演に招かれたMark Collier(マーク・コリアー)氏の冒頭の発言は、オープンソースならではのOpenStackの存在意義を強調したものである。

 OpenStackはベンダーに依存しないオープンソースソフトウェアで、柔軟なモジュール設計やスケーラビリティ、互換性などの特徴が評価され、既に世界中の多くのクラウドサービスに利用されている。

 しかし、日本国内では関心こそ高まっているものの、本格的な普及はこれから。そこで、クラウドサービスの利用者や提供者に対して、実用段階に入ったOpenStackの最新情報や利点などを訴求しようと企画されたのが、今回のカンファレンスである。

 Collier氏がCOO(最高執行責任者)を務めるOpenStack Foundationは、2010年に米国で発足したOpenStackプロジェクトを母体として、2012年に設立されたOpenStackの開発やライセンスの管理を行う非営利団体である。その活動は、大手ベンダーをはじめ80カ国180社以上の企業・団体から支持を得ており、6000人以上の開発者が関わっているとしている。

 Collier氏は今回のカンファレンスで「The Rising Stack:How & Why OpenStack is Changing IT」と題して講演。OpenStackの仕組みや開発プロセス、導入事例、コミュニティの活動状況などについて説明した。

 中でもOpenStackが注目を集める理由として、同氏は「プラットフォームのエコシステム」を挙げた。その要素は「技術的なプラットフォーム」「イノベーティブなエコシステム」「グローバルなユーザーの広がり」の3つからなり、特にそれらが交差する領域に重要な価値が生まれるとの見解を示した。

 同氏は、「クラウドサービス分野では既にAmazonがこうしたプラットフォームのエコシステムを築き上げているが、OpenStackもAmazonに追随できる態勢が整ってきた」との手応えを語り、その原動力となるのが「オープン」であることを強調した。冒頭の発言は、同氏が最後に語ったその決め台詞である。

 1000人以上が登録したというカンファレンス会場の雰囲気は、筆者の経験による印象ではJavaやLinuxの初期のイベントにも似た盛り上がりだった。こうしたオープンな勢力が存在感を持ち続けるのは、IT業界にとって健全なことかもしれない。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    「2024年版脅威ハンティングレポート」より—アジアでサイバー攻撃の標的になりやすい業界とは?

  4. セキュリティ

    生成AIを利用した標的型攻撃とはどのようなものなのか?実態を明らかにして効果的な対策を考える

  5. ビジネスアプリケーション

    Microsoft 365で全てを完結しない選択、サイボウズが提示するGaroonとの連携による効果

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]