ただ、IBMもマイクロソフトもサイボウズも、今ではグループウェアではなく「コラボレーションソフトウェア」と呼んでいる。
このコラボレーションソフトウェアの名のもとで、グループウェアとソーシャルメディアの融合が進んでいくのは間違いなさそうだ。
「ベンダーロックインにノーと言い、自由にイエスと言おう」 (OpenStack Foundation Mark Collier COO)
OpenStack Foundation Mark Collier COO
クラウド関連企業など17社および団体が加盟する日本OpenStackユーザ会(JOSUG)が3月12日、オープンソースのクラウド基盤ソフトウェアである「OpenStack」をテーマにしたカンファレンス「OpenStack Day Tokyo 2013」を東京・秋葉原で開催した。その基調講演に招かれたMark Collier(マーク・コリアー)氏の冒頭の発言は、オープンソースならではのOpenStackの存在意義を強調したものである。
OpenStackはベンダーに依存しないオープンソースソフトウェアで、柔軟なモジュール設計やスケーラビリティ、互換性などの特徴が評価され、既に世界中の多くのクラウドサービスに利用されている。
しかし、日本国内では関心こそ高まっているものの、本格的な普及はこれから。そこで、クラウドサービスの利用者や提供者に対して、実用段階に入ったOpenStackの最新情報や利点などを訴求しようと企画されたのが、今回のカンファレンスである。
Collier氏がCOO(最高執行責任者)を務めるOpenStack Foundationは、2010年に米国で発足したOpenStackプロジェクトを母体として、2012年に設立されたOpenStackの開発やライセンスの管理を行う非営利団体である。その活動は、大手ベンダーをはじめ80カ国180社以上の企業・団体から支持を得ており、6000人以上の開発者が関わっているとしている。
Collier氏は今回のカンファレンスで「The Rising Stack:How & Why OpenStack is Changing IT」と題して講演。OpenStackの仕組みや開発プロセス、導入事例、コミュニティの活動状況などについて説明した。
中でもOpenStackが注目を集める理由として、同氏は「プラットフォームのエコシステム」を挙げた。その要素は「技術的なプラットフォーム」「イノベーティブなエコシステム」「グローバルなユーザーの広がり」の3つからなり、特にそれらが交差する領域に重要な価値が生まれるとの見解を示した。
同氏は、「クラウドサービス分野では既にAmazonがこうしたプラットフォームのエコシステムを築き上げているが、OpenStackもAmazonに追随できる態勢が整ってきた」との手応えを語り、その原動力となるのが「オープン」であることを強調した。冒頭の発言は、同氏が最後に語ったその決め台詞である。
1000人以上が登録したというカンファレンス会場の雰囲気は、筆者の経験による印象ではJavaやLinuxの初期のイベントにも似た盛り上がりだった。こうしたオープンな勢力が存在感を持ち続けるのは、IT業界にとって健全なことかもしれない。