クラウドファースト推進のユーザー企業増加--パブリッククラウド成長続く

田中好伸 (編集部)

2013-04-01 16:07

 IDC Japanは4月1日、国内パブリッククラウドサービス市場予測を発表した。2012年の同市場は前年比44.8%増の933億円、2017年には2012年の3.4倍となる3178億円になると予測している。

 東日本大震災の影響で堅牢性と障害対策への期待からパブリッククラウドに対するユーザー企業の注目が高まった。2012年以降、パブリッククラウドの先進的な機能に対しての理解も深まった。

 先進的な機能には、情報系アプリケーションでのモバイル端末対応やソーシャルネットワークとの連携、インフラサービスでの設定やバックアップ、ログ管理の自動化などを挙げている。パブリッククラウドは“早い、安い、拡張性”だけでなく、災害対策や先進機能の導入に有効である認識がユーザー企業に広く浸透したと説明している。

 2013年以降は、適用するシステム領域の多様化と利用量の拡大が見込まれると予測。同市場は、市場規模の拡大に伴い、2012年の前年比成長率をピークに以後、成長率が低下していくが、高い成長が継続すると予測している。

 国内のパブリッククラウドサービス市場は著しく発展していると説明。その特徴から、クラウドを活用したIT導入を優先的に検討する“クラウドファースト(Cloud First)”を推進しているユーザー企業が増加しているという。中でもコラボレーションや顧客情報管理(CRM)アプリケーション、バックアップリカバリサイト、一般消費者向けウェブシステムなどの領域では、クラウドファーストの浸透がみられるとしている。

 ベンダーにとって国内のパブリッククラウドサービス市場は、技術やビジネスモデルで市場を開拓する時期は過ぎ去り、新しい競争時代を迎えたと表現。IDC Japanの松本聡氏(ITサービスリサーチマネージャー)が「新しい競争時代では、技術を核としたベンダー主導による事業開発ではなく、ユーザーが求める価値を核とした特化型ソリューションの提供が重要」とコメントしている。


2012~2017年の国内パブリッククラウドサービス市場のセグメント別売上額予測(出典:IDC Japan)

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