電子看板にリアルタイムな特売情報など--情報システムとの連携で変わる組み込みWindows - (page 3)

三浦優子

2013-04-02 12:56

ARMアーキテクチャのサポートはユーザーの要求次第

 ところで現在マイクロソフトが公開している組み込み用Windowsのロードマップの中には、Windows 8からサポートが始まったARMアーキテクチャは含まれていない。

 「2012年秋に来日した時点で話した通り、現在公表しているロードマップの中にはARMアーキテクチャはない。今後のことで話せることはない」とボラディアン氏。

 ARMアーキテクチャを採用したWindows RTが商品化されているが、ARMの強みはWindows Embeddedが得意な小型機器に適していることであり、長時間バッテリーが保つことだ。タブレット端末である「Surface」のようなWindows RT搭載のパソコンだけでなく、色々な形態のデバイスにARMアーキテクチャは適しているとされている。

 しかし、ARMアーキテクチャがサポートされてから時間が経っているのに、Windows Embeddedのロードマップに含まれていないことは不思議だ。

Windows Embeddedファミリーの提供時期を示すロードマップ
Windows Embeddedファミリーの提供時期を示すロードマップ

 「その理由に対して何か言及できるわけではないが、現在、顧客がどういう要求を持っているのかが重要だ。現行のWindows Embedded 8 ProはActive Directoryに対応し、管理のしやすさ、高セキュリティを実現し、すぐにエンタープライズシステムに接続できることが利点。これはユーザーのニーズに基づいたものだ」(ボラディアン氏)

 エステガシー本部長も、「たとえモバイル版でも、BitLockerのような暗号化の仕組みなどProのフィーチャが必要なのが現在のニーズ」と言及する。

 組み込みシステムであっても、エンタープライズシステムとの連携、そして管理やセキュリティの仕組みが必要だとマイクロソフト側で考えていることがよく伝わってくる。そしてこうした環境が現行のARMアーキテクチャではそろっていない。それが、Windows Embeddedのロードマップに登場しない要因の1つともなっているようだ。

 また2012年、Windowsディビジョンの責任者であったスティーブン・シノフスキーが退社し、ジュリー・ラーソン-グリーン氏、タミ・レラー氏の二人がWindows事業を率いることになった。Windows Embeddedの開発に何か影響はあるのだろうか。

 「この件についても何も言うことは出来ないが、2012年秋に発表しているロードマップ通りに製品がリリースされているという実績を見てほしい」とボラディアン氏は応じた。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  2. セキュリティ

    マンガでわかる脆弱性“診断”と脆弱性“管理”の違い--セキュリティ体制の強化に脆弱性管理ツールの活用

  3. セキュリティ

    情報セキュリティに対する懸念を解消、「ISMS認証」取得の検討から審査当日までのTo Doリスト

  4. セキュリティ

    ISMSとPマークは何が違うのか--第三者認証取得を目指す企業が最初に理解すべきこと

  5. セキュリティ

    クラウドセキュリティ管理導入による投資収益率(ROI)は264%--米フォレスター調査レポート

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]