今は逆の時代に入りつつある。つまり、(Skylar Tibbits氏が言う)「コンピュータープログラマーではなく物質プログラマー」になる新世代の人々によって、宇宙が自然発生的に秩序を組み立てる仕組みを利用した、オブジェクトの小規模生産が可能になる時代だ。
これはすでに実現しつつある。Autodeskのサイト「Instracutables」、「Thingiverse」や「defcad」へのアクセスは増えており、オープンソースコミュニティでは3D、4Dが勢いを増している。クロスプラットフォームのオープンソースボクセルモデリング・分析ソフトウェアであるvox.cadなどのツールが、MITやプリンタメーカーの社内でも広く使われている(ボクセルは、3Dのピクセルにあたる)。
こういった中で最も重要なのが材料だ。最近では家庭用3Dプリンタがもてはやされているが、Jonas Benzen氏がブログで論じているように、消耗材料のコストとサイズの制約を考えると、産業規模で少量生産を行う場合のコストと比較した場合、家庭用3Dプリンタにどれだけの価値があるかは疑わしい。今日では、3Dプリンタは主に、柔らかいモデリング用材料を使った、プロトタイピングや工業デザインに使われている。
今あるプリンティングの概念の一部は、時代遅れのパラダイムだ。本当の進歩は、材料の化学の分野で必ず起きる。StratasysのDaniel Dikovskey氏が説明している通り、材料プログラミングインターフェースで重要な要素は、複数の材料の配合だ。作成される材料に特性をプログラムするという現代の錬金術は、重要な新しいパラダイムだといえる。これらの新材料の変化する特性を生かしたデザイン原理は、少しずつ形になってきている。現在使える材料は限られているものの、活動は爆発的に活発になってきており、進歩も速い。急速に進歩し、既にオープンで参入しやすいビジネス分野では、協力が盛んになるだろう。その結果、4年から5年も経てば、プログラム可能でプリントすることのできる極めて高度な材料が登場するはずだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。