IDC Japanは4月3日、国内企業の情報セキュリティ対策の実態調査結果を発表した。676社を対象に1月に調査した。
情報セキュリティ関連投資を2011年度と2012年度で比較すると、「増加している」が13.9%となり、「減少する」の11.7%を上回った。2013年度の見込みでは、2012年度を上回る企業は全体の14.1%、「減少する」企業は12.2%となった。
情報セキュリティ投資は、標的型攻撃が急増した2011年度から増加傾向に転じ、2012年度と2013年度はともに、増加傾向が続くとみている。2013年度にセキュリティ投資を増加する企業では、モバイルセキュリティ対策や脆弱性管理などを重点項目としている企業が多く、この分野への投資意欲が強いことも判明している。
調査では、脅威管理、アイデンティティ/アクセス管理、セキュアコンテンツ管理など15項目の導入状況を調べている。導入率はファイアウォール(FW)/仮想私設網(VPN)、PCでのウイルス対策が6割以上と外部からの脅威管理の導入が進んでいる。
だが、情報漏洩対策やアイデンティティ/アクセス管理、脆弱性管理など内部統制対策は導入率が4割となり、遅れていると指摘。セキュリティ被害では、ウイルス感染に遭った企業が3割以上という最も多い結果となった。
2012年2月の前回調査と比較すると、データベースサーバとウェブアプリケーションサーバ、業務アプリケーションサーバ、POSサーバ、製造ライン、POS端末、ATMなどの専用端末で被害を受けたと回答した企業の比率が高まったという。
セキュリティ対策の対象範囲は、クラウドからモビリティ、ビッグデータ、ソーシャルといった「第3のプラットフォーム」での対策と、巧妙化と悪質化が進む標的型攻撃からの防御によって、社内のイントラネットからクラウドサービスやSNSが点在するインターネットへ、さらにPCやサーバからスマートフォンなどのモバイル機器や製造ラインといったクローズドネットワーク環境に拡大していると説明。同社の登坂恒夫氏(ソフトウェア&セキュリティリサーチマネージャー)が以下のようにコメントしている。
「ユーザー企業は、実施しているセキュリティ対策の対象範囲と対策がIT資産を保護する上で十分であるかを把握し、再検討することが重要。そのためには、実施しているセキュリティ対策や潜在的なセキュリティインシデント情報を専門家などが評価、分析し、セキュリティ状況を把握した上で、ポリシー設定など対策の見直しが必要である。これは、一時的ではなく、定期的に監視、分析、対策を見直すことが重要である」