各界のエグゼクティブに価値創造のヒントを聞く連載「ZDNet Japan トップインタビュー」。
今回は、ECサイトなどウェブ上で消費者がどのように行動したかを、ビデオのように録画し、保存、再生できるというソフトウェアを提供する、イスラエルClarisiteの最高経営責任者(CEO)、Yoav Schreiber氏に話を聞いた。
イスラエルのClarisiteが提供しているのは、ウェブサイト上でのエンドユーザーの 行動を保存し、再現できるソフトウェアだ。これまで同種の製品はあまりなく、今後さまざまな用途での利用を見込む。

イスラエルClarisite、Yoav Schreiber CEO
ソフトウェア名は「EyeView Tr」。ネットワーク上のパケットをリアルタイムで取得し、ウェブサイトでエンドユーザーが何をしたかを記録し、保存、再現までできる。閲覧されたウェブページの推移を時系列で表示、エンドユーザーが選択したもの、入力した内容、クリックしたボタンなどが、ウェブページ上でハイライトされる。
同社CEOのYoav Schreiber氏は「ウェブ上の行動は、例えばあるウェブページで、YesかNoを選ぶような場合、Yesが選択されたことは記録されるが、何の質問に対する対応であるかというような、関連情報は分からないことが課題だった。EyeView Trは、ウェブについて、音声を録音、再生するレコーダーと同様のことができる。飛行機のフライトレコーダーのようなもの」と話す。世界中をみても同じような製品はないとアピールする。
この製品の「保存」のしくみは「基本的にエンドユーザー側の端末とウェブサーバ間の通信を、ミラーリングの設定をしたスイッチを通じ、EyeView Tr側に流す。ウェブサーバにはエージェントのようなものは不要で、特にソフトをインストールすることもない」(Schreiber氏)のだという。
現状では、EyeView Trの主な用途はウェブを運用して事業を展開している企業の顧客サポートだ。例えば電子商取引の場合、ウェブサイトに「そんなことは書いてなかった」「自分の選択とは異なる」といったクレームが寄せられることがある。
エンドユーザーのウェブ上での操作がそのまま記録されるため、ある操作の前後関係までが示されることとなり、それらの動作をほぼ完全に再現できる。
同社は「トラブルの原因を解明しやすくなり、ひいてはトラブルを予防し、企業ブランドの毀損(きそん)を防げる」(同)としており、銀行、保険をはじめとする金融機関、電子商取引などを手掛ける企業への拡販を狙う。