本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、レッドハットの纐纈昌嗣 常務執行役員と、アカマイ・テクノロジーズの徳永信二 職務執行者社長の発言を紹介する。
「ビッグデータの活用を支えるのは、オープンソースのテクノロジである」
(レッドハット 纐纈昌嗣 常務執行役員)
レッドハット 常務執行役員 製品・ソリューション事業統括本部長 纐纈昌嗣氏
レッドハットが3月28日、ビッグデータ関連事業の戦略について記者会見を開いた。米Red Hatが2月に発表した同戦略の内容をもとに、日本市場での展開を交えて説明したものだ。常務執行役員で製品・ソリューション事業統括本部長を務める纐纈氏の冒頭の発言は、その会見でビッグデータとオープンソースの関係について同社の見解を示したものである。
纐纈氏はビッグデータの活用が注目を集めていることについて、「AmazonやGoogleなどが、大量のトランザクションをもとにさまざまな分析を行うことでビジネス価値を生み出している中で、それを支えるテクノロジがオープンソースとして広く使えるようになってきたことが、ビッグデータ活用への注目度を高めている」との見方を示した。これが冒頭の発言の背景である。
纐纈氏によると、レッドハットにおけるビッグデータ戦略のポイントは、「オープンソース」「非構造化データにフォーカス」「オープンハイブリッドクラウド」「エコシステム」といった4つのキーワードに集約されるという。
中でもオープンソースについては、「かつてUNIXをベースにしてLinuxがつくられたように、オープンソースソフト(OSS)は個々のベンダーが提供するソフトに追随してつくられてきた。ところが、ビッグデータ活用分野ではHadoopに代表されるように、OSSが早くから利用されている」とし、もともとオープンソースを推進してきた同社としては、こうした動きを積極的にリードしていきたい考えだ。
また、オープンハイブリッドクラウドについては、ビッグデータ活用を効果的に行うためにはパブリッククラウドとプライベートクラウドを密接に連携させる必要があるとし、対応するソリューションを一層拡充していく方針だ。
同社ではこうしたビッグデータ戦略を推進するためのソリューションとして、中核となるストレージソフト「Red Hat Storage」をはじめ、既存のデータベースやHadoopと連携するデータ仮想化基盤「JBoss Enterprise Data Services」、スケールアウト型のNoSQLデータストア「JBoss Data Grid」などを用意。「OSSこそが真にビッグデータ活用における課題を解決できる」との意気込みで一段と事業強化を図っていく構えだ。