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「作る前に売る」もあり、ものづくりの変化に勝機--ダッソーの鍛治屋社長

怒賀新也 (編集部)

2013-04-11 12:00

 「“良いもの”よりも、市場で受けるもの」「消費者の経験を増幅させるもの」--ものづくりへの考え方が変わりつつあるという。多くの製造業者も発想の転換を求められている。

 そこで役立つのが、製品の企画から設計、生産、サポートを含めたプロセスを包括的に管理するのが製品ライフサイクル管理(PLM)ソフトウェアだ。

 各界のエグゼクティブに価値創造のヒントを聞く連載「ZDNet Japan トップインタビュー」。今回はPLM大手、フランスのDassault Systèmesの日本法人、ダッソー・システムズの鍛治屋清二社長に、ソフトウェア企業の立場から、ものづくりの変化と今後の展望を聞いた。

 年明けからの円安の影響で「2013年度の設備投資に前向きな企業が増えた」と話す鍛治屋氏。ダッソーの主な顧客が多い業種では、自動車、産業機械が好調で、電機メーカーを含むハイテクメーカーについてはまだそれほど手ごたえはないとのこと。

 「日本で売れたものは世界でも売れる、というかつての考えはもはや“都市伝説”のようなもの」と指摘する鍛治屋氏。

2012年12月に就任したダッソー・システムズの鍛治屋清二社長。09年に入社後、パートナーエコシステムの充実を図った。ダッソーの前は、89年に日本タイムシェア(現TIS)で勘定系システムなどのシステムインテグレーションを手掛け、94年に日本パラメトリックテクノロジー(現PTC)に入社。ここで3次元CADの導入に関わった。その後、米モールドフロー、オートデスクなどを経た。
2012年12月に就任したダッソー・システムズの鍛治屋清二社長。09年に入社後、パートナーエコシステムの充実を図った。ダッソーの前は、89年に日本タイムシェア(現TIS)で勘定系システムなどのシステムインテグレーションを手掛け、94年に日本パラメトリックテクノロジー(現PTC)に入社。ここで3次元CADの導入に関わった。その後、米モールドフロー、オートデスクなどを経た。

 消費者の経験を増幅させるものをつくるべき、との風潮は強まっているという。市況の把握が難しい中、ソフトウェアへの期待が高まっているのもまた事実だと指摘する。

 というのも、長い間続いた円高で生産拠点を海外に移す企業が増えたことなどもあり、製造業の業務プロセスが従来以上にグローバル化している。

グローバル化への対応にソフトウェアが必要

 そのため日本の製造業者も「中国や東南アジア諸国の経営資源を上手に使いこなす」必要や、「現地のサプライヤーとの情報共有体制の構築」、さらに「各拠点で同時の製品販売」などに取り組まなくてはならず、そこにPLMをはじめとしたソフトウェアのさらなる活躍の場があるという。

 また、このように製造プロセスが複雑化してくると、ツールの提供をメインにするスタイルでは顧客の要望を満たせなくなっていると鍛治屋氏は話す。この2、3年でこの傾向が特に強まったことに対応し、ダッソーは製品よりも「業種別のソリューションとして製品を提供すること軸足を移すことになった」。

PLMの役割にも変化

 PLMの役割にも変化が起きているという。「3DEXPERIENCE」と呼ぶDassaultの新戦略では、製造に関連するデータをシングルインスタンスで保有する。この場合、3D CADで設計したデータから部品表(Bill Of Material:BOM)を生成したり、設計BOMから販売BOMやサービスBOMをつくったりもできるという。

 自動車などの製品の生産を始める前に、カタログや3D技術を用いプロモーション映像をつくることもできる。つまり、「製品を作る前に、カタログなどで販売活動をすることも可能になってくる」(鍛治屋氏)わけだ。

規制やIPへの対応も

 もう1つのテーマは、PLMソフトウェアを利用した各国の規制への対応や、知的財産物(IP)の流出防止などの施策といったセキュリティ面での活用だ。

 製造拠点を海外に置く企業では、常に現地社員などを介した技術流出の危険を感じている。鍛治屋氏も顧客である大型機械メーカーの知人が「中国に拠点を置くのが怖い」との本音を漏らすのを聞いたと話す。

 サイバー攻撃が活発化していることもあり、情報流出を防止するためのIT側の施策は今後さらに重要性を増すと考えられる。

 このように、グローバル化の影響を受け製造業の業務プロセスが複雑化し、また、シングルインスタンスでのBOM管理といったITの進化で、従来とは異なる売り方なども可能になってきている。製造業を取り巻く環境の変化を把握し、即応するために、PLMソフトウェアの役割も大きくなってきていることを鍛治屋氏は強調した。

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