ITの性能指標にもビジネス目線を--手動プロセスが組織のIT活用を阻害

田中好伸 (編集部)

2013-04-11 14:58

 ビジネスとITは両輪であることは誰の目にも明らか。だが、ITがいかにビジネスの役に立っているのか、その測定は従来のまま――。日本ヒューレット・パッカード(HP)が4月11日に発表した調査から明らかになっている。

 Hewlett-Packardはアジア太平洋地域と日本の企業と公共団体の経営幹部やIT部門のトップなどを対象にした調査をColeman Parkes Researchに依頼している。2012年の9月と10月に調査した。

 企業や行政組織にとって、顧客や住民にサービスを提供する基盤であるITをリアルタイムに把握、管理することは不可欠。これにはオンライン決済やモバイル端末、ソーシャルメディアサービスも含まれる。組織は提供するサービスを管理するだけでなく、リソースとIT投資のバランスも把握する必要がある。

 調査では、幹部層の70%以上が、組織の主要な性能指標でITを測定すべきと回答。だが、実際のIT性能分析ではサービス品質(71%)やチケット解決速度(66%)など従来の指標を活用していることが明らかになっている。コストや顧客満足度といったビジネス中心の指標を活用する回答は、それぞれ56%と41%と低いことが分かっている。

 この状況についてHPは、組織はITを活用して顧客や住民にサービスを提供しており、ITの性能をビジネス視点の指標で測定し、組織が本来持つ目標との整合性を確保することが重要と提言している。

 調査では、旧来のシステムのサイロ化、いわば縦割り構造が、ITと組織の整合性を阻んでいると指摘している。具体的には、ITの性能に関する情報を組織全体で共有しているという回答した幹部層は44%。この数字についてHPは、ITとビジネスの間で欠かすことのできないコミュニケーションのリンクが損なわれていると表現している。

 調査の中で、幹部層の70%以上が、IT監視の作業の中に手動のプロセスが含まれていると回答。その中の71%が手動のプロセスが入り込むことで有益な情報の処理や組織へのフィードバックまでの時間が長くなる、あるいは遅れると回答している。こうした遅れと不十分なIT測定で、組織の柔軟性はさらに低下すると指摘している。

 現在、ITとビジネスの目標を整合させ、優先順位の変化に迅速に対応することが求められているとHPは説明。IT部門のリーダーは関連する性能の監視と報告を適切に行い、洞察を得たいとしている。これを可能にするには、ITで手動プロセスを自動化して、顧客満足度やコスト、売上増などの戦略的な測定結果にITの効果を高めることが必要になっていると提言している。

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