日本HPのHPソフトウェア 事業統括 常務執行役員の中川いち朗氏は「ソフトウェア事業は、日本市場で一昨年に続き、昨年も約30%増の成長を遂げている日本では、運用管理やテスト自動化・品質管理、セキュリティ、ビッグデータという観点からソフトウェア事業を展開している。東日本大震災以降、クラウド化の波が起こっているが、全体のシステムでみると運用に工数がかかっているのが実態」と説明。日本市場の特徴を以下のように解説した。
「こうした課題を解決するソリューションを用意。自動化が一気に広がる中で(運用管理ツールの)『HP Operations Orchestrations』では、4000種類の自動化テンプレートを持っており、今や日本のデータセンターにおける自動化ソリューションのデファフクト(スタンダード=事実上の標準)となっている。また障害予知や障害対応での自動化などでも30%増の成長を遂げている。加えて(自動負荷テストツールの)『HP LoadRunner』でテスト工数の削減、テスト費用の低減を実現するほか、ログをリアルタイム監視し、セキュリティを強固にするソリューションに対する人気が高まっている。ここでは2倍以上の成長を遂げている」
中川 いち朗氏
関連するビッグデータ分野では「昨年12月からスタートしたビッグデータ事業では、すでにKDDIがVerticaを導入。毎日50億件のデータを10秒で結果を導き出すことができたほか、Autonomyを全日空が導入。売上高が30%伸びたという実績が出ている。HPはビッグデータでは遅れているといわれるが、顧客の課題解決に合致する新たなソリューションを提供しており、これが成果を挙げている」
中川氏は「製品提供とともに、コンサルティングやサービスの体制を整えているほか、パートナーとの協業も深く進めており、それによってビジネスが拡大している。パートナーでは、ライセンスの再販だけでなく、パートナーのデータセンターを通じたサービスを提供するといった動きも出ている」とビジネスの状況にも触れている。
Kadifa氏は「5~7年に一度、大きな変化が訪れるIT産業で今、その力となっているのがクラウド、セキュリティ、ビッグデータ、モビリティの4つ。これがITの新たなスタイルを確立することになる」と状況の変化を解説。その上でITのパラダイムシフトが起きていると論じた。
「クラウドは、新たなパラダイムであり、コンピューティングコストを下げ、無限大のリソースを利用できる。それに伴いセキュリティを担保する必要がある。ビッグデータは膨大な情報同士を結びつけ、そこから分析し、ビジネスに生かすことができる。モビリティは大きな変革を起こしたものであり、アプリケーションのアーキテクチャにも大きな変化を及ぼしている」(Kadifa氏)
Kadifa氏は、日本経済のビジネス環境の変化にも触れて、こう主張した。
「日本は今、大きな経済の変革点を迎えている。その中で日本における新たなITのスタイルとは何か? ひとつは、アプリケーションライフサイクル管理における革新であり、二つめにはクラウドを通じた新たなコンピューティングモデルなどでイノベーションを起こすという点。そして、増加している脅威への対応のほか、ハイパフォーマンスアナリティクスへの対応が必要である。日本の企業はすばやく情報を分析し、俊敏にアクションを取りながら、情報をインテリジェントに活用していかなくてはならない」