エリック松永のメディア・デモクラシー講座

音楽とは違う--動画ビジネスをリードするのは個人ユーザー - (page 4)

松永 エリック・匡史(プライスウォーターハウスクーパース)

2013-04-13 10:00

リアルタイム配信での新しい可能性

 YouTubeで言えばアップロードするコンテンツを、リアルタイムで視聴できたらどんな可能性があるのかという発想から、動画を中継するというサービスが生まれました。動画を撮影しながら同時に視聴者に配信するサービスです。

 代表的なサービスは2007年に開始されたUSTREAMで、インターネットならではの機能としてリアルタイムで視聴者とチャットができる機能や、多数決の様な投票を行う機能があります。

 もともとUSTREAMは、戦争で派兵された友人や家族のためのコミュニケーションツールとしてビデオ電話の発想で生まれています。しかしサービスの可能性は拡大され、政治にも利用されるようになりました。2008年には米国の大統領選挙でブームになり、ある候補者はUSTREAMを利用し、双方向ディベートをリアルタイム配信し話題になったのです。

 同様の動きは日本でも見られました。2012年には衆議院総選挙に向けての党首討論会が、ドワンゴが運営している生中継動画配信サービス「ニコニコ生放送」で提供されました。1時間半の生放送で、視聴者数140万人、書き込みコメント55万以上を記録し話題になりました。

 またアーティストのコンサート活動を、より多くの人に届けたいという思いから、USTREAMでのリアルタイム配信をLIVEの生中継に利用した事例も登場しました。

 例えば、歌手宇多田ヒカルさんはUSTREAMを利用したコンサートの動画配信を実施し、34万5000人のユニーク視聴者数という驚異的な数字を叩き出したのです。

表1:Ustream Live 配信されたコンサート例
(出所:Ustream Asia株式会社公表資料よりDTC作成)
時期アーティスト
2012年11月Ryuichi Sakamoto Trio Tour 2012 Japan & Korea
2012年7月EXILE TRIBE LIVE TOUR 2012
2011年12月ayumi hamasaki COUNTDOWN LIVE 2011-2012
2011年12月坂本龍一 playing the piano 2011
2010年12月宇多田ヒカルのコンサート「WILD LIFE」

 個人での発信も盛んになりました。小さなイベントでの配信から、臨場感あふれる中継も個人発信で行われるようになってきました。TBSの「革命×テレビ」ではこのような個人発信の映像を番組と連携させたり、リアルタイムで視聴者のTwitterを画面に表示させたりするような新しい取り組みも行われ、既存のテレビ放送とは違った発想の番組が登場しています。

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