それ故、SPARC M5-32の税別価格は6593万7553円からと、かなりの高額。だが、同等の性能を他社ハードウェアで構成しようとすると「億の単位になる。SPARC M5-32はかなりのお買い得製品」とコストパフォーマンスでも優れているとし、コストパフォーマンスは「競合機種の3倍」と強気な姿勢を崩さない。
従来、SPARC TとSPARC Mは「SPARC Mシリーズはデータベース、SPARC Tシリーズはウェブアプリケーション」(大曽根氏)と、稼働させるシステムが異なっていた。だが、今回のラインアップでSPARCサーバは「サイジングで見てほしい」(大曽根氏)という。ユーザー企業は、必要とするシステムのサイズがどういったものなのかで選ぶことになる。
プロセッサにソフトウェアを組み込む
今回提供が始まったプロセッサのSPARC T5は、Sun MicrosystemsがOracle買収前に設計が完了していたものだ。この次の世代のプロセッサ、次期SPARC CPUはOracle/Sunになってからだが、すでに「設計自体は完了している」(大曽根氏)という。
「T3からT4、そしてT5と、それぞれ2倍の性能向上を実現している」(大曽根氏)というSPARCは、“ムーアの法則”ならぬ“(CEOの)ラリーの法則”で倍々ゲームで進化してきている。次期SPARC CPUでも前世代の2倍の性能が見込まれるが、“Software in Silicon”という進化の方向が見えている。
その進化とは、「Oracle Database」とJavaというソフトウェア機能をハードウェアに組み込むというものだ。これは、システムの一番上のレイヤで稼働するアプリケーションの性能を加速させるための方策である。
データベースでのクエリ高速化やJava高速化に加えて、アプリケーションが扱うデータを暗号化しての保護、データの圧縮と非圧縮をプロセッサレベルで担う。クエリ高速化やデータの圧縮と非圧縮などをプロセッサに組み込むのは「システム全体としてどう速くするか」(大曽根氏)を考慮している。
このSoftware in Siliconというアプローチは同社独自のものではないが、「Oracleスタックを速くする」(大曽根氏)ことを念頭に置いている。同時に、Oracleスタック以外の一般的なハードウェアやソフトウェアをベースにしたシステムの汎用的な機能や性能を向上させることも狙っている。
これは、プロセッサやOS、ハードウェア、ミドルウェアなどコンポーネントでの強化を図りつつ、そこで得られた成果をEngineered Systemsに活用するというOracle/Sunの戦略にのっとっている。