中国と朝鮮半島を揺るがす核と伝染病--IT業界はどうなる? - (page 2)

Jason Perlow (ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2013-04-19 07:30

 中国のすぐ隣には朝鮮半島がある。隠者王国とも呼ばれる北朝鮮にはいかなる技術的価値も存在していない。しかし韓国にはサムスンがある。同社は単独で、隣国である北朝鮮のGDPの10倍もの売上高を上げているテクノロジ系複合企業だ。

 サムスンは「GALAXY」ブランドのスマートフォンやタブレットをはじめとする自社ブランド製品を製造する企業だが、世界最大のSoC製造企業でもある。

 サムスンは独自のSoC製品である「Exynos」に加えて、QualcommやTexas Instruments(TI)からの委託を受け、数多くのスマートフォンやタブレットに搭載されるチップも製造している。また現時点では、AppleのiOS製品に搭載されているAシリーズの主要製造企業ともなっている。さらに、他にもさまざまなチップを製造している。

 またサムスンは、DRAMやフラッシュメモリの製造においても世界最大の生産規模を誇るとともに、あらゆるサイズの液晶ディスプレイ製造における最大手企業となっている。そして、リチウムイオンバッテリの大手製造企業でもある。

 ここまではサムスンについてしか述べていない。韓国にはこの他にもLGやSKグループといった巨大テクノロジ企業があり、半導体のサプライチェーン全体に対する重要な役割を果たしている。

 中国または韓国、あるいは最悪のシナリオとして両国の製造ペースに乱れが生じた場合、さらには台湾やシンガポール、日本、ベトナム、マレーシア、インドネシアといった国々にまでその影響が拡大した場合、われわれの知っているテクノロジ業界は大きな音を立てて崩れ落ちることになるだろう。

 何がこのような事態を引き起こすのだろうか?

 筆者は、経済学者でも政治学者でも社会学者でもなく、未来予測に時々手を出すテクノロジストだ。このため、今から10年後、あるいは20年後にどのようなテクノロジが主流となっているのか、あるいは社会全体や経済全体がどのような影響を受けるのかといったことについて、機会あるごとに熟考している。

 これらは筆者にとって、楽しい頭の体操のようなものであり、書き物のネタとしてももってこいなのだ。

 筆者はたいていの場合、近未来の物事については考えない。またある種の地政学的な、あるいは社会経済学的な条件に基づくシナリオとそれが業界に与える意味についても考察から除外するようにしている。というのもわれわれの世界では、突発的に起こる、思いもかけない出来事が多すぎるのだ。しかし、アジアで最近発生している出来事を見るにつけて、筆者は考えさせられ、またその考えによって不安をかき立てられる。

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