一方、北朝鮮は皮肉なことに、世界から孤立しているため、アジアでパンデミックが発生しても影響を受けにくいという利点がある。
しかし、中国はパンデミックの対応で手一杯になり、韓国もパンデミックの対応に追われる可能性があるため、北朝鮮に対する中国やその他各国からの経済援助が少しでも滞った場合、問題が引き起こされる。
北朝鮮は厳しい経済情勢にあるため、金正恩第1書記と将官たちはこれをチャンスと捉えるかもしれない。そうであれば、隣国の韓国と交戦状態に入る可能性も大幅に増すことになる。
アジアを吹き荒れるこういった「大嵐」が筆者の述べたようなかたちで国際経済に影響を与えるレベルに達すると、IT業界だけでなく多くの産業や経済にも多大な、そしてさまざまな悪影響が及んでいくだろう。あらゆる種類の電子機器やテクノロジ機器が長期にわたって製造されなくなるのは明らかであり、すべての製品在庫も底をついてしまう。
人々は次世代の「iPad」や「iPhone」、「GALAXY」といった製品がいつ入手できるのかを考えなくなる。あるいは自らの好みを製品に求めるようなことも考えなくなる。人々はテクノロジ製品がいつ手に入るのかについてしか考えなくなるだろう。
流通経路に在庫として残っている製品の価格は大幅に上昇するに違いない。あらゆる製品の交換パーツも品薄となる。また、中古品を取り扱う大規模市場が形成されるはずだ。携帯電話業界では新製品が一切発売されなくなるのはほぼ間違いないだろう。さらに、さまざまな種類のPCに対する大きな需要が、製品の新旧やOSを問わず生み出されるだろう。
そしてサーバ機器やデータセンター機器を大量に保有するIBMやHP、Dell、EMC、Oracle、富士通、Cisco Systemsといった企業も自らが使用するため、あるいは米国政府や欧州各国の政府のために備蓄に走るはずだ。
新たな機器を購入できなくなり、データセンターの運用を続けられなくなると、多くの企業は「Amazon Web Services(AWS)」やMicrosoftの「Windows Azure」といったクラウドサービスの利用や、IT機器を入手できる、あるいは既に保有しているIBMの「グローバル・テクノロジー・サービス」やHPの「HPエンタープライズサービス」といった大手サービスの利用を検討するようになるだろう。
しかし、そのような事態になる前に米国政府や欧州各国の政府が、売買できる機器の種類や数量、あるいは大企業によるテクノロジリソースの統制方法を規定した法案や非常時立法を制定するのではないかと筆者は考えている。
テクノロジ業界のライバル企業は、普段であれば会議室で同席することに難色を示し、今日のような状況下であれば互いに非難の応酬を始めるところだろうが、こういった状況に至っては協力し合うほかないだろう。
パンデミックが米国に飛び火した場合に何が起こるかについては、ここでは触れないでおきたい。このシナリオは、筆者にとって考えられないくらい恐ろしいものであるため、他の人の記事に任せたいと思う。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。