ハイブリスジャパンは、電子商取引プラットフォーム製品「hybris Commerce Suite」の最新版を4月22日に発売した。B2B、B2C企業向けに、ウェブサイト上で購買しやすくなる環境を構築することを支援する。
最新版は、さまざまなチャネルをまたがって購入する消費者向けの機能や、店舗内ツールの管理機能などを搭載している。ハイブリスはドイツに本社を持つhybrisの日本法人で、2012年に設立された。
hybris Commerce Suiteは、店舗やテレビ、ECサイト、ソーシャルメディア、携帯電話、モバイル機器デバイスなど複数の販売チャネルを通じて、顧客が最適な形式で買い物ができるような仕組みを電子商取引事業者向けに提供する。

hybris Commerce Suiteの画面
最新版では、その中核となる「hybris Order Management Services」、チャネル間の顧客に快適な環境をもたらすことを図る「hybris InStore Module」、カスタマイズされたビジネスツールを構築するためのフレームワーク「Next Generation Cockpit」などで構成される。
hybris Order Management Servicesは、チャネルをまたがった顧客移動をサポートする。商品の発注から決済、商品の準備、配送までの業務工程について、複数チャネルを行き来する顧客を支援するため、従来のOrder Management機能を拡張した。
このサービスでは、これらの工程を最適化できるよう、倉庫、調達、仕分けにわたり、在庫を一元的に把握、管理することが可能であるとともに、出荷を指示された商品を在庫から抽出し、梱包、配送する工程を最適化する。
デジタルとリアルな場所、製品データ、在庫を連携
hybris InStore Moduleは、デジタルとリアルな場所、製品データ、在庫の連携を担う。直感的で、タブレットにも適したユーザーインターフェースを備え、QRコード読み取りやNFC(近距離無線通信技術)にも対応しており、全店舗での在庫状況を表示する。
Next Generation Cockpitは、企業ごとの状況に適合したビジネスユーザー向けツールを構築する機能を持つウィジェットベースのフレームワークだ。同社では、カスタマイズされたビジネスツールにより、企業は1つの場所から複数チャネル間を移動する顧客の行動や環境を管理することができ、ビジネスプロセスの最適化が可能になるとしている。
また、モバイルコマース用アプリケーションを迅速に開発、展開できるよう、iOSやAndroid向けの、Mobile App SDKを用意している。Mobile App SDKには、あらかじめ設計されたモバイル店舗用テンプレートがある。これにはQRコード読み取り、NFCタグ認識、顧客管理、モバイル検索、チェックアウト機能が含まれているほか、各種モバイル機器に最適化されたブラウジング機能なども備えている。

ドイツのhybrisで製品戦略担当バイスプレジデントを務めるStefan Schmidt氏
ドイツのhybrisで製品戦略担当バイスプレジデントを務めるStefan Schmidt氏は「パソコン、スマートデバイス、さらにはゲーム機に至るまで顧客は多様なインターネット端末を持っており、電子商取引をめぐる彼らの購買行動は複雑化し、企業側は世界規模で新たな対応を迫られている。従来、電子商取引のシステムではさまざまな販売チャネル相互間で情報が共有されていないことが多かった。また、デジタルと実際の物理的な店舗を統合させようとするときパソコン、モバイル機器との接続、店舗や倉庫との連携などが複雑化し、非効率になっていた。hybris Commerce Suiteは、電子商取引システムの全体像、さまざまな情報の関係性などを一元化して管理できる」と語り、この領域で発生している複雑性の解消を目指す。
ハイブリスジャパン社長の森田正昭氏
ハイブリスジャパン社長の森田正昭氏は「hybris Commerce Suiteは、日系の多国籍企業、国内に進出している外資系の多国籍企業などを中心に展開していきたい。製造業、流通業、欧米では通信業などに向け、多くの導入実績がある」と話す。
同社では今後、流通・卸業、小売業、製造業にとどまらず、ソフトウェアやゲーム、映像などデジタルコンテンツの開発や販売を行う企業にも「hybris Commerce Suite」のユーザーとして照準を合わせており、グローバルに事業を展開する企業のブランド強化と売上増を支援していきたい考えだ。