カスタマーの検討フェーズに合わせて、かゆいところに手が届く情報をカスタマーが欲しいタイミングで、ベストなコミュニケーション手法を用いて最適化していくというPDSをビッグデータを基にした分析結果から回しています。
このように、ビッグデータを管理・加工した先に、われわれは、『データに基づく経営管理の効率化』と『カスタマー・コミュニケーションの最適化』という2つの活用出口を持ち、データをビジネスの現場に接続しています。
上記でご紹介したデータマネジメントのおのおのの活用フローにおいて、データサイエンスという観点からは、例えば、需要予測においては、エルニーニョ現象の解明など気象の分野で研究されている「粒子フィルタ」というアルゴリズムを用いたり、ウェブリコメンデーションにおいては、蟻のフェロモン分泌、伝達、蒸発のメカニズムからヒントを得て、日々移り変わるカスタマーの嗜好の変化を物件の推薦に取り入れたりというように、自然科学の知見をマーケティング科学に応用するなどの試みを行っています。
もちろん、このような分析テクニック上の工夫以上に、各フローにおいてさまざまな難易度の高い現場課題に答えていく必要がありますが、具体的にどのような課題があり、どのような形で解決していったのか、または、いまなお格闘中なのかなどの紹介は、次回以降とさせていただきたいと思います。
まずは、リクルートにおいて何のためにビッグデータを活用しているのか、という大枠のフレームワークを共有させていただくことで、少しでも皆様のヒントになる要素があれば幸いでございます。
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- 吉永 恵一
- 株式会社 リクルート 住まいカンパニー
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SUUMOネット横断企画部 データマーケティングチーム チームリーダー 兼 シニア・データサイエンティスト。2010年10月、株式会社リクルートに入社。インターネット・マーケティング室(現 株式会社 リクルート テクノロジーズ)にて、需要予測や広告予算の最適化、リコメンデーションなどの分析ソリューションを開発し、各カンパニーに展開。2012年4月より、住宅カンパニー(現 株式会社 リクルート 住まいカンパニー)にて、カスタマー戦略の企画・立案やビッグデータを活用した各種分析ソリューションの実運用への落とし込みを実施。また、社内外において、マーケティング、分析講座などの講師を担当。日本消費者行動研究学会学術会員。経営科学系研究部会連合協議会主催によるデータ解析コンペティションにて、2009年度 奨励賞、2010年度 殊勲賞 受賞