ただ、同社としてはおよそ1年をかけて今回の新ビジョンを検討してきたようだが、なんとも唐突な感じがしないでもない。その感覚は社内にもあるようで、今回の技術や商品の新たな体系化をもとに「近々、大がかりな社内体制の再編があるのではないか」との疑心暗鬼な声も漏れ聞こえてくる。
同社では5月中旬に開催するプライベートイベントで顧客向けにも詳細に説明する構えだが、より分かりやすいメッセージが求められるところだ。
「これからはビッグデータをうまく活用できるかどうかで、ビジネスの勝者と敗者がはっきりと分かれてくる」 (米IBM Bob Picciano ゼネラルマネジャー)
米IBMのBob Picciano ゼネラルマネジャー
日本IBMが4月11日、都内ホテルでビッグデータ活用をテーマにしたプライベートイベント「IBM Information On Demand Conference Japan 2013」を開催した。米IBMソフトウェア部門でゼネラルマネジャーを務める Bob Picciano(ボブ・ピッチャーノ)氏の冒頭の発言は、そのイベントの基調講演で、ビッグデータ活用の重要性について語ったものである。
同社の顧客やビジネスパートナーを対象にした同イベントでは、ビッグデータを効果的に活用している顧客企業の取り組みや、ビッグデータ活用を実践するための課題解決策が紹介された。Picciano氏はそこで「Think BIG in the New Era of Computing」というテーマで基調講演を行った。
Picciano氏は講演の中で、ビッグデータ活用に向けてはとくに、「ビッグデータ探索による情報基盤の強化」「顧客の360度把握による顧客との対話を促進」「セキュリティと情報の拡張によるリスク低減と不正の防止」「引用分析によるインフラの最適化とデータの収益化」「データウェアハウスの増強によるIT効率と規模の拡大」といった5つのユースケースが挙げられると説明した。
そうした中で同氏は、ビッグデータを有効活用するうえで重要なキーワードとして「プラットフォーム」と「アナリティクス」を挙げ、プラットフォームについては「複数のビッグデータ関連技術を統合して問題解決に対処できること」や「あらかじめ統合されたコンポーネントを活用し、時間およびコストの削減と迅速な投資回収を行えること」、「単独プロジェクトで小規模に始めて徐々に範囲を拡大できること」などがポイントになると説明。また、アナリティクスについては「アナリティクス自体の進化と拡張が必要になる」との見方を示した。
そのうえで同氏は、「IBMはそうした条件を兼ね備えたプラットフォームやアナリティクスの機能を提供しており、それにビジネスコンサルティングやビジネスパートナーとの協業体制を併せて、まさにビッグデータ活用のベストプラクティスをお届けすることができる」と強調した。
同氏の熱弁ぶりが印象的だった講演だが、それもそのはずで、同社によると今回のイベントには予想を大きく上回る登録申し込みがあったとか。講演会場の熱気も相当なもので、あらためてビッグデータ活用に向けた関心の高さを感じ取ることができた取材だった。