全社の営業利益率目標が4.7%としているのに対して、社会ソリューション事業では7.7%となる営業利益1700億円を計画。「全社では、営業利益率で5%を早期達成目標としているのに対して、社会ソリューション事業では、早期に8%の達成を目指す」と、同事業が長期成長と収益性向上の牽引役となることを示す。
中期経営計画「V2012」の反省
今回の新たな中期経営計画は、2012年度を最終年度とした中期経営計画「V2012」の反省を踏まえたものになっている。
V2012では、2012年度に売上高4兆円、営業利益は2000億円、当期純利益は1000億円、ROEを10%とすることを目標においた。
今回発表した2012年度の連結業績は、売上高は3兆716億円、営業利益は1146億円、当期純利益は304億円、ROEは4.5%に留まった。
2011年度の1102億円の最終赤字からの黒字転換や、2013年1月に発表した1000億円の営業利益目標を上回ったというような、短期的な数値だけを見れば評価できるともいえるが、最終ゴールに掲げていた中期経営目標からははるかに及ばない。

遠藤信博氏
「高い収益目標に対して、コアアセットを生かした拡大モデルを描けなかった。また、東日本大震災、タイ洪水被害、欧州危機など、外部環境変化に適応できる財務体力が不足していた」と遠藤氏はV2012を振り返る。
特に海外事業を拡大できなかったことは、成長戦略の遂行に大きな足かせとなった。V2012で掲げた海外売上高比率は25%。2012年度実績ではこれが15.7%にとどまっており、V2012策定時の2009年度実績が19.9%であったことと比較すると、むしろ逆行している。
今回の中期経営計画は、V2012のような成長戦略を描くものではない。
遠藤氏は「V2012では、当時の事業構造を考えると、4兆円の売上高は最低限必要な規模と捉え、そのためには海外展開が重要だと捉えた。しかし、海外での高い成長目標に対して、経営資源の集中が進まず、海外企業とのパートナーリングでも成果が上がらなかった。これは大きな反省点である」と前置きし、「2015中期経営計画では、3兆円の売上高で成り立つ体質を目指す必要がある」と、成長戦略よりも体質強化を優先する姿勢を見せる。
V2012は、遠藤氏が社長就任直前の経営企画担当取締役執行役員常務として、策定の中心人物として携わり、結果的に自らが社長としてこれを実行したものだ。
そして、今回の2015中期経営計画は初めて、社長の立場から策定に関与したものであり、3年間の社長経験を踏まえて策定した計画の実行ということになる。その内容は、体質強化という点で、これまでの中期経営計画とは、大きく異なるものとなっている。
成長を捨てて、体質強化に挑む“2度目”の中期経営計画が成功しなければ、次の成長は成し得ないだろう。
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