玄人筋の評価はそろって「微妙」
今回のGS4投入に関するニュースで一番驚いたのは、米国の代表的なニュースサイトやブログのレビューがそろって微妙だったことだ。それも、iPhoneのシンパのようなレビュアーが「iPhoneに比べて……」というのなら意外でもなんでもないが、同じAndroid陣営の、HTCの最上位機種「HTC One」を引き合いに出して「(ハードウェアの)質感ならGS4よりHTC Oneの方が上」などという声が目立っていた。具体的には次のような感じである。
The Verge
[Top Shelf 008: GALAXY S4 and the best new smartphones]
- 「プレミアム製品とは思えない質感。HTC OneやiPhone 5とは比較にならない」
- 「大画面とカメラ、それにバッテリ動作時間の長さは大したもの」
- 「いろいろと新機能が盛り込まれているが、すべてのアプリで動くわけではない」
AllThingsD(WSJ)
[GALAXY S4 Is a Good, but Not a Great, Step Up]
良い点
- 画面が大型化
- 1300メガピクセルのカメラ
- バッテリ時間の長さ
悪い点
- ロック解除しないとカメラを使えない
- 余計で薄っぺらなソフトウェアが満載
- うまく動作しないソフトウェア機能が複数ある
結論
- 「GS4がいい製品であることは間違いないが、ゲームチェンジャーといえるほどすごい製品でもない」
- 「Androidスマートフォンを探しているなら、より洗練された見かけで、性能も高いHTC Oneも検討してみるべき」
Bloomberg
[Samsung Stumbles With GALAXY S4 Phone: Rich Jaroslovsky]
- 「GS4には魂(soul)が欠けている」
- 「画面はものすごいが、Air Viewなどの独自新機能はGmailアプリなど他社製アプリでは動作しない」
- 「決して悪い製品ではないが、マーケティングの派手さのわりには、いささか期待外れ」
このほか「GS4には驚くほどたくさんの機能が搭載されているが、そのほとんどは一度触ったら、二度と使いそうにないもの」(WIRED.com)といった批判もあった。
それでも、上記のThe Vergeの動画の中で指摘されている通り大型で派手な発色の液晶画面など、売れるためのツボは押さえられている。一般の消費者は、これらのレビュアーのようにたくさんの製品を試しているわけではないから、 あとは「どれほどたくさん宣伝するか」「小売店頭でどれほど目に飛び込んでくるか」といったところが製品の売れ行きを大きく左右することになるのだろう(その点ではHTCはかなり厳しい戦いを強いられるはず)。
製品自体の出来映えよりも、マーケティングにかけられる資金力の差が勝敗を分けるというのは、実際のビジネスでは仕方のないこととはいえ、かなりつまらない状況にも思えてしまう。