まず、賛否両論ありそうな「アプリのクラウド提供」について考えてみる。
CCブランドに移行するのは「PhotoShop」「Illustrator」「InDesign」など従来Creative Suiteとして提供されてきた製品に加え、「Adobe Edge Tools & Services」として提供されているウェブ開発者向けの製品群だ。さらに20GバイトのクラウドストレージやBehanceと言ったウェブサービス、「Adobe Touch Apps」と呼ぶモバイルアプリ群もCreative Cloudを通じて利用可能になる(完全なリストはこちらのページを参照)。
これらのアプリでは従来のパッケージ販売を取りやめ、クラウドを通じたダウンロード提供と固定の月額料金を支払うサブスクリプションモデルに移行する(サブスクリプションの料金についてはこちらのページを参照)。
従来のパッケージを購入していたユーザーからすると非常に大きな変化となるため、賛否両論、さまざまなフィードバックがありそうだ。
とはいえ、従来のCreative Suiteは高過ぎて手が出ないと思っていた筆者のような人間からすると、「いろいろ付いてきて月5000円なら、悪くないんじゃないか」と考えさせられるものがある。こうした思いを筆者のようなウェブデベロッパーに抱かせたという点だけでも、ソフトウェアの“売り方”一つで世の中にさまざまな変化をもたらすAdobeという会社のスゴイところだと感じる。
また、後述するような「Adobe ID」の保有を前提としたクラウド対応アプリだからこそ実現できるクリエイティブの可能性を考えても、Creative Cloudへの移行は遅かれ早かれ真剣に検討すべき事項となるのではないだろうか。
Fireworksは「終わらない」
ちなみに、CCブランドに移行しない製品もいくつかある。「Fireworks」がその代表だ。Fireworksは今後新規の機能追加は行われず、OS(Mac、Windows)のメジャーアップデートに伴う対応、セキュリティアップデート、バグフィックスと言ったメンテナンス体制に移行する。
とはいえFireworks CS6の販売は継続され、Creative Cloudの一部としても利用可能なため、製品自体が終了したというわけではない(詳しくはこちらのブログ参照)。
ロサンゼルスで初日を終えた時点で、日本で「Fireworksオワタ」との誤った情報が広がり話題になっていることを知り、プレスともどもAdobeの関係者も頭を抱えるという、何だか面白い体験をさせていただいた。
CCブランドに移行しない製品としては、ほかに「Flash Builder」や「Encore」、「Lightroom」などがある。これらの製品も、引き続きCreative Cloudの一部として利用が可能だ。